2025年10月の最前線【前編】 (神田紅佳インタビュー)
「講談最前線」 第9回
- 講談
瀧口 雅仁
2025/10/04
ガラシャと鬼平、昼夜で異なる紅佳の挑戦
――昼と夜では、演目を変えるんですか。
紅佳 はい、もう何をやるかと決めています。昼は『太閤一代記 ~柿のご意見』と『細川ガラシャ』です。
『柿のご意見』は、愛山先生に教えていただいたお話で、実は歌がたくさん出てくるので、骨の折れる難しい話です。先生から教わった時に、知的な内容でありながら面白くもあり笑いも求められる、読み手からすると高等テクニックが必要で、今の私にとっては至難の業とも言えます。だからこそ愛山先生の前で読んでみたい。
『細川ガラシャ』は、小倉城主の細川忠興の奥さんで、私の出身である福岡でも人気のある人物です。毎年、独演会では地元にちなんだ人物に力を入れて読んでいるので、今年は『細川ガラシャ』を選びました。
――昨年は同様に、同じ福岡でたくましく生きた女性を描いた『女侠一代-どてら婆さん』を読みました。
紅佳 独演会は枠が自由なだけに、自分で何かを考えなくてはなりません。そこで福岡や北九州を舞台に活躍した人物や出来事は、私にとっての外せないキーワードとして、これからも読んでいきたいですし、シリーズ化できればいいなと思っています。
夜は「鬼平」の世界を楽しんでもらいたいと思っています。「鬼平」の講談はご縁があって、これまでにも読んできました。今、『べらぼう』で江戸時代の文化が注目されています。蔦屋重三郎と鬼平は同時代に生きた人で、『べらぼう』でも交流があったことが描かれています。
先にもお話したように、浅草は江戸情緒漂う町でもあるので、木馬亭でぜひ読んでみたいですし、ちょっぴり『べらぼう』人気にあやかりたいと思っています(笑)。
ユニークな履歴が紡ぐ芸の共鳴
――夜の部は、浪曲の天中軒景友さんがゲストですね。
紅佳 浪曲で『鬼平犯科帳』を演じる方がいらっしゃると聞いて、場所も浪曲が染みついている木馬亭ですし、ご一緒したいと思っていました。私のは『実録!長谷川平蔵』とドキュメントに近いので、実際に鬼平がどんな風に人生を送っていたのかを描いています。
景友さんの作品は、池波正太郎先生の小説を浪曲化したものですから、平蔵のドラマチックな部分が楽しめるのではないかと思っています。まさにエンターテインメントとしての「鬼平」の世界に、お客様をお連れできればと思っています。
――景友さんも紅佳さんも履歴がユニークという共通点があります。
紅佳 そうなんです! 私は韓国でキャスターを務めて、世界に韓国の文化を発信していましたし、景友さんはスペインでフラメンコのギターを弾いていたと聞いています。タイでムエタイの修業をしていたとも。そんな破天荒な人生経験をしているのを知り、「あ、景友さんと共演したい!」と本能的に察知したんです。生き方や芸種は異なりますが、どこか芸に対する発想は似ているのではないかと思ったんです。
――うまくコラボできれば面白いですね。
紅佳 私も楽しみにしています。
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