上方落語を聴く旅 ~服部の大阪旅行記

月刊「シン・道楽亭コラム」 第6回

8月6日(水)

 毎週水曜日の11時に「朝活落語」なるものが天満橋近くのこの小屋で開催されます。
 普段は小屋のオーナー、露の新幸さん(露の新治師匠のお弟子さん)が高座に上がります。出演したい若手が来る時もあれば、新幸さん一人で務める時もあります。東京での連雀亭ワンコイン寄席に近いです。ただ、「落語スペース 猫も杓子も」は、入門11年目の新幸さんが営んでいるところに上方噺家の意気を感じるのです。
 この日は、新幸さんが大須のお仕事で不在、代わりにゲストで来るつもりだった桂笑金さんがリーダー、そこに月亭秀都さんが加わり、素晴らしい会になりました。笑金さんは筋金入りの妖怪好きで、妖怪検定の中級合格者、秀都さんは本格古典落語道を究め中のホープです。いつかお二方ともシン・道楽亭に出演していただきたいなと思っております。

月亭秀都さん(左)と桂笑金さん(右)

 桂塩鯛師匠は、先代の柳家小さん師匠が得意とした『試し酒』、桂米左師匠は、上方本来の型での金に目がくらむ『幇間腹』、桂南光師匠はトリで『厩火事』という贅沢過ぎるラインナップ。これで2,500円は、涙が出るほどありがたい。

動楽亭 本日の催し

 動楽亭は、毎月1日~20日の昼間は桂米朝一門が中心の定席ですが、夜もさまざまな会が行われています。この日は、小佐田定雄先生と桂雀喜師匠がタッグを組む新作の会でした。目玉は、桂阿か枝師匠の初演ネタ『捨て台詞』(小佐田先生作)。怪談噺が続く、贅沢な会でした。

8月7日(木)

 定宿から歩いて10分強の所に、大阪のランドマークの1つ、超高層ビル「あべのハルカス」があります。途中に「上方落語発祥之地 てんのじ村記念碑」が見え、その奥には飛田新地。この落差が平然と両立しているのも大阪らしいと言えるかもしれません。
 通常、ハルカス寄席は火曜日ですが、今回に限っては木曜日開催。第一部、第二部に分かれ、三人ずつ演者が登場します。こちらは通しで2,000円(9月からは2,300円)。
 この日の出色は、笑福亭松喬師匠による本来の上方版『へっつい幽霊』。「(8月)11日に、横浜でコレやるんで……」と、期せずして大ネタを拝聴できました。

てんのじ村記念碑

スケジュール _ 近鉄アート館

 地下鉄南森町下車徒歩10分、看板もないので、うっかりすると見落としがちなビルの1階に、ツギハギ荘があります。大御所から若手まで、途切れることなく演芸が開催される収容人数50人程度の小屋です。
 この日は、米朝一門の桂南天師匠・桂紅雀師匠・桂雀喜師匠による三人会の初回。今後継続していく皮切りに参加できました。中入り抜きとか、凝縮1時間20分の会とか、いろいろ斬新で気持ちの良い会でした。

ツギハギ荘

ツギハギ荘(Facebook)

https://www.facebook.com/tugihagisoh/?locale=ja_JP