上方落語を聴く旅 ~服部の大阪旅行記

月刊「シン・道楽亭コラム」 第6回

8月8日(金)

 大阪唯一の定席寄席が、天満天神繁昌亭です。朝・夜にも会が目白押しですが、昼は東京の寄席同様、365日営業しています。
 この日は夏休みならではの顔付で、路上の大道芸などで世界各国を巡られた笑福亭鶴笑師匠が主任でした。鶴笑師匠と言えば、パペット落語! 手作りのかわいい人形や小道具を手足に装着し、全身を使った落語に子供たちは歓声、大人たちは感嘆の声を上げて拍手を送ります。40分ほどの熱演に、大いに笑いつつも心打たれました。
 もう一人、色物の先生で亜空亜SHIN(アクアシン)さんもご紹介させてください。中国の変面とマジックを披露されたのですが、これがもう見事! ぜひ東京でもその芸を多くの方に知ってほしいと思います。

 開場前には、鶴笑師匠自ら客寄せをされていました。こうしたケースはさすがに珍しいものの、上方の師匠方は大御所でも終演後にお見送りしてくださるケースが大変多いです。気軽にお声掛けもできるのも、大阪らしくて好きです。
 最近の鶴笑師匠は、少し足を悪くされているようですが、それでも「困難なことがエネルギーになる」(師匠のXより引用)と、精力的に活躍されており、頭が下がります。

桂九寿玉さん(左)、鶴笑師匠、桂雪鹿さん(右)

天満天神繁昌亭

天満天神繁昌亭

https://www.hanjotei.jp/

まとめ

 以前の旅でうかがったものの、今回は訪問しなかった小屋に、此花千鳥亭(大阪市此花区)、DAIHATSU 心斎橋角座(大阪市中央区)、落語寄席 西宮えびす亭(兵庫県西宮市)、神戸新開地・喜楽館(兵庫県神戸市)、聖天通劇場(大阪市福島区)、現在は休館工事中の門戸寄席 J:SPACE(兵庫県西宮市)などがあります。

 米朝師匠が蒔いた種がスクスク育っている上方落語。東京のように、寄席そのものは少ないものの、ぶらりと旅立っても、どこかで必ず面白い演芸に出会えることは保証します。

 『東京かわら版』の上方版とも言える『上方落語情報フリーペーパー よせぴっ』もあちこちにチラシと共に置かれ、無料配布されています。全国どこからでも、ブログで情報を得ることもできるんですよ。太っ腹ですね。ここから探しても良し、それぞれのサイトや噺家さんご自身のサイトから情報入手するも良しです。

よせぴっオフィシャルブログ

 私の場合、大阪の友人に「◯月◯日に行くよ!」と言えば、どっさり情報送ってくれます。たいてい同行してくださり、ついでにお茶をしたり、ご飯を食べたり、大阪ならではの居酒屋に誘ってくれたり。東京で「今度会おうね」と言っても、実際には縁遠かったりしますが、こちらでは文字通り「今度」は「今度」なので、友達が友達を呼んでまた友達になって、気づけば両指分くらいの仲間ができているのでした。こんなところも旅にまた行きたくなる理由でもあります。

 シン・道楽亭でも、笑福亭べ瓶師匠、今回ご紹介した鶴笑師匠のお弟子さんの笑福亭笑利さんが上方落語を定期的に聴かせてくださっています。これからもっと増やして、上方落語の良さを皆様にお伝えできればと思います。

共同席亭 服部晶代

シン・道楽亭の公演スケジュール

https://dourakutei.com/schedule/

         (毎月10日頃、掲載予定)