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ミャクミャクに翻弄される日々

「ラルテの、てんてこ舞い」 第4回

待ってろよ、ミャクミャク!

 私は暑いのが大の苦手である。まして40度にも迫ろうかという酷暑のニュースを聞くだけで眩暈(めまい)がしてくる。

 万博は大屋根リングとやらはあるらしいが、しょせん囲われた所ではない。つまり、その暑さたるもの想像を超え、燃えたぎる灼熱に違いない。

 まずは、日傘。ハンディファン、冷却タオル、超冷却スプレーを買い込み、携帯が切れたらアウトとも聞いているので携帯のバッテリー、飲料水、それと汗拭き用のタオルに…といろいろ揃えたら、こりゃあもう大荷物じゃないか。

 万年コンクリートショルダーと言われる酷い肩こりと腰痛持ちの自分にとって、これを持って数時間の行列待ちは苦行としか言いようがない。

 そうだ、まずは髪を切ろう! それだけでも多少、首元に涼風が吹いてくれるのではないかという期待を込めて。

 数十年に渡り、同じ美容サロンしか行っていないので、担当スタッフさんとも顔なじみである。

 「バッサリやっちゃってください」「珍しいですね。どうしました?」と聞かれるので、実は万博に行って…という事のあらましを話したところ、「うちのお客さんも、万博行ってきたんですよ。そしたらね、不思議なもんで、あんなに気持ち悪いだのなんだの言ってた人が、ミャクミャクがとにかく可愛いって。お土産なんか沢山買ってきましてね……」と言うではないか。

 ミャクミャクが可愛い? 冗談でしょ? あんな、頭にポンデリングみたいなものをつけ、目のいっぱいある奇怪なキャラクターに心を奪われるはずがない。

 やれやれ。とにかく行くからには存分に楽しもう! 待ってろよ!ミャクミャク!