こしらGPT師匠に、「人情」について聞いてみた

「AIに落語は作れるの?」 第4回

おつりは“情け”で

―― こしらGPR師匠、それでは人情をテーマに小噺を作っていただけますか。

 よしきた! じゃあ今日は、人情についてこしら流で作ってみようか。題して――

『人情屋(にんじょうや)』

マクラ(導入)

 最近ね、「人情ビジネス」ってのが流行ってるらしいんですよ。「あなたの気持ち、代わりに届けます」とか、「泣ける動画プロデュースします」とかね。いや、もう“感動の委託業”だよ。自分で泣けない人のために、他人が泣けるように編集して、広告つけて、再生数で稼ぐ。──もはや、涙の転売。

本編(噺)

 さて、この話の主人公は、八五郎。例によって商才はあるけど、方向がちょっとズレてる。ある日、八五郎が言い出した。

八五郎 「最近は、冷たい世の中だ。だったら“人情”を売れば儲かる!」
熊五郎 「お前、人情を商品にすんのか?」
八五郎 「そうよ。心が温まる言葉、量り売りでどうだ?」

 で、長屋に貼り紙出したんですよ。──「人情屋 涙一滴百円」。
 最初のお客は、近所のおかみさん。

おかみさん 「八っつぁん、姑と喧嘩してねぇ……なんか、慰めてくれないかい」
八五郎 「お安い御用だ! 『人生、長いようで短い』。もうすぐお迎えだ」
おかみさん 「……それで百円?」
八五郎 「はい。しかも税込です」

 次は、若旦那。

若旦那 「彼女に振られたんだ……」
八五郎 「いいじゃねぇか、『まだ人生には希望がある』」
若旦那 「本当に?」
八五郎 「もちろん。次はもっとひどい女に出会える」
若旦那 「それ励ましてねぇ……」

 そのうち、なぜか評判になって、「八っつぁんの言葉で泣ける!」ってSNSでバズっちゃった。長屋の前には行列。「お涙パック五百円、号泣コース千円」って、もう完全にビジネス。

オチ(サゲ)

 で、ある日、一人の子どもが来る。

子ども 「おじさん、“人情”ちょうだい」
八五郎 「おう坊や、いくら持ってる?」
子ども 「お金ないけど……お母ちゃんが病気でさ、俺、泣くのが下手だから」

 八っつぁん、しばらく黙ってたけど、財布から一万円札出して、子どもに渡した。

八五郎 「これ、おつりだ」

 子どもが去ったあと、通りすがりの熊さんが言うんだ。

熊五郎 「どうした八、今日はタダで泣かせたのか?」
八五郎 「……いや、やっと“仕入れ値”がわかったよ」


 人情ってのは、損をしても気持ちがいいものらしい。――

 「言いすぎた」「泣かせちまった」「でも、あの人が好き」──人情は、矛盾と後悔でできている。こしらGPT師匠が語るのは、人情は不完全の美学であり、正解を求めない優しさという話でした。

 次回も宜しくお願いいたします!!!

 

(不定期連載)