講談界を駆ける一鶴イズムの継承者 田辺銀冶(後編)
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第26回
- 講談
瀧口 雅仁
2026/02/05
定席の意義と未来
―― 昨年の「軍談ウィーク」では、ゲストとして出演された宝井琴星先生の『賤ヶ岳七本槍』が、これぞ釈場で鍛えた修羅場というもので、凄くもあり、ああした会がないとなかなか聴くこともできないので、貴重な会だと思いました。
銀冶 私も強く印象に残っています。私自身は今は、(宝井)琴鶴先生から馬琴先生の台本をありがたくも貸していただき『小牧山合戦』の連続読みをしています。まだ軍談のこれぞという楽しみまでは見出せていないので、会名に「道場」とあるように、毎回、その気持ちで挑んでいます。
美文調で読める『本能寺』や『甲越軍記~和談破れ』のように、既に台本が完成されているものは読んでいて楽しいんですが、速記本から起こすとなると、どういう調子で読んでいけばよいのかわからなかったりするので、これからもじっくりと向き合っていきたいですね。苦しみながらですが、いつかはやっぱりうまくなりたいですね。
―― 軍談のような連続物を読んでいく場合、やはり定席があってしかるべきと考えます。以前、伯山さんとの対談で「寄席を作りたい」という思いを述べていましたが、そちらはいかがですか。
銀冶 講談を毎日読める定席は復活させたいですね。ホームになるべき場所がないのは、やはり弱いですし、「どこで講談を聴けるんですか」「いつやっているんですか」と尋ねられても、すぐに答えられないのは悔しい。それに真打になると場数が減ったりもするので、もっと講談が読める場がほしいです。
―― 定席が必要なのは、楽屋がまた勉強の場であるということもあるかと思います。
銀冶 そうなんです。色々な講談に関する話を聴きたいですし、先輩方の思い出話もまた勉強になるんです。講談界は今、活気がありますし、今の世代ができなかったら、もうできない。それは今ならばできるということだと思っています。
銀冶が所属する一般社団法人講談協会は「定席」と銘打ち、お江戸上野広小路亭、新宿永谷ホール、四谷・津の守で、月に6日の公演を行っているが、やはり軍談の魅力の一つである連続読みを考えれば、365日開いている定席の存在は欠かせない。そうした釈場があることは講釈師の願いとも言えよう。
●軍談ウィークの記事はこちら
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