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東京

「座布団の片隅から」 第10回

東京

鈍感ではいられない街 ここ東京

三遊亭 好二郎

執筆者

三遊亭 好二郎

執筆者プロフィール

 東京はズルイ。

 何がズルイといって、東京で開催するライブの多さだ。いわゆる“ライブ格差”である。僕が大分にいた頃は、好きなミュージシャンのライブに行けた試しがなかった。休みを取って東京や大阪まで遠征するしかない。旅費や交通費もバカにならない。

 それが東京に出てきてからはどうだろう。憧れのアーティストのライブに気軽に行けるようになった(抽選さえ通れば)。落語会にしたってそうだ。ライブも落語会も東京は恵まれ過ぎている! 東京はズルイ! でも東京は便利。くやしい。

 さて、僕の特に好きなアーティストは2組。1組はチャットモンチー。もう1組は……長くなるのでまたの機会に。

 チャットモンチーは、2018年に解散した。僕が前座修行をしている間に解散してしまった。前座修行中は休みがなく、ライブには結局一度も行けなかった。しかしその後、ボーカルの橋本絵莉子さんがソロデビュー。あの歌声が帰ってきた。それから僕は、橋本絵莉子さんの曲を熱心に聴いている。

 そんな橋本絵莉子さんが1月15日に渋谷でライブをするというので、チケットの抽選に応募したら、見事に当たった! それからはライブが楽しみでしょうがなかった。待ち遠しくて落ち着かない日々。はっきり言って落語にも集中できなかったぐらいだ(笑)。

 そして迎えたライブ当日。僕は圧倒されっぱなしだった。

 橋本絵莉子さんの小柄な体からは想像できない、よく通るハイトーンの歌声、繊細で鋭いのに骨太な歌詞。バンドの演奏の立体感。チャットモンチーが解散して、もう二度と生の歌声を聴けないと思っていたアーティストが、目の前にいるのである。

Shibuya O-EASTにてライブ開演前

 やはりライブは素晴らしい! あんなに遠い存在だと思っていたのが、あの日だけはすごく近くに感じた。ありがとう東京。でもやっぱりくやしい。