余興について

「すずめのさえずり」 第九回

 た、頼む、誰でもいいから完食してくれ。

 司会も舞台袖で見守る前座仲間も、そしてきっと、いつまでこれを見せられなければならないのだ、と考えていたに違いない師匠たちも、皆同じ思いだったろう。

 「おめえらいい加減にしろ!」

 強制終了を告げる、いつも楽屋で怖かった〇〇〇師匠の怒声が、あれほどありがたいと思ったことはない。オチの記憶がないのは当然だ。そこまで行かれなかったのだから。いや一応行けたのかな。何も覚えてません。

 そんな当時と比べると、本当に隔世の感があるなあ。

 寄合にせよ真打昇進披露宴にせよ、とにかく普通のパーティーと違うのは、芸人が大勢見ている、ということだ。お客様の目にさらされ、ウケるウケないの戦いを日々やっている人間が何十人何百人といる前でやらなければならないのだから、演者も大変だ。

 そうなると、やはり難しいのはお笑い系である。海千山千の師匠たちを笑わせるのは容易なことではない。

 始めのうちは若手真打が、酒の勢いも手伝って「ようよう! いいぞ!」なんてやっているのだが、なにしろ芸人は飽きっぽい。おまけに、短くササッと終わらせることに美を見出す、という不思議な習性の持ち主なので、少しでも間延びしていると感じると、すぐに見捨ててパンのおかわりなどをし始める。

 ウケていない人を見ている時の共感性羞恥もあいまって、そのいたたまれなさたるやただ事ではない。

 逆にウケるのは、まずお色気系。

 サンバやベリーダンス、ポールダンスなどは、なんだかんだ言っておじさんは喜ぶ。女性芸人も、そのパフォーマンスに拍手を送る。

 以前我々のプロフィール写真を撮ってくださっていたYさんというかた。いつもはわりと淡々と撮影をされるかただったのだが、そういう時は、いいネコを見つけた岩合さんでもこれほどのテンションにはなるまい、というくらいアクティブにカメラを振り回していた。

 ちょっと、落語家のこともそれくらい楽しそうに撮ってよ!