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2026年4月のつれづれ(町田康の木馬亭公演、雲月会長の留任と舞台復帰、浪曲「陰陽師」の新展開)

月刊「浪曲つれづれ」 第12回

関西からの刺客、京山幸太&新内光希

 話を戻すと、2席目の浪曲は関西から京山幸太と新内光希が出演した。新内は、昨年から幸太の相三味線として活動している。大学時代から付き合いのある間柄だそうで、息の合ったところを聴かせてくれる。

 この日の演目は、町田康原作の「パンク侍、斬られて候」前編であった。プロローグにあたる箇所で、新内があまり聴いたことのない節を弾いていて、新鮮に感じた。後で詳しい人に指摘されて気づいたのだが、これは「メシ食うな」の前奏だろう。なるほどの町田康トリビュートである。節と三味線の走り具合も含めて、幾度か聴いた中でいちばんの「パンク侍、斬られて候」だったと思う。

 幸太はもともとヘヴィーメタルなどの音楽好きだったが、源流である黒人音楽に接近し、日本にも同じようなものはないかと尋ね歩いているうちに浪曲に遭遇したという経歴があるという。この日のマクラで話していたが、1970年代の歌謡曲にかっこいいものが多いことに気づき、「年下の男の子」の作曲家・穂口雄右に連絡を取ったところ、浪曲を聴くように勧められたのだそうだ。キャンディーズから浪花節、なかなか衝撃的な出会いである。

 その京山幸太は、5月17日(日)にお江戸両国亭で昨年に続き、二度目の東京自主公演を行う。現時点でまだ残席があるかはわからないのだが、こちらも行ける方はぜひ。

小説と浪曲が交差する未来への期待

 中入を挟んで、マチダ地蔵尊の演奏である。町田康(節付き朗読)、中村jizo敬冶(ag,cho)、浅野雅暢(sax,flute)、客田岳(b,ag,perc,cho)、emyu(violin、cho)という構成で、1時間近い演奏となった。途中で町田は木魚を出し、阿呆陀羅経よろしくチャカポコと叩いて歌った。その曲かどうかは失念してしまったが、中島らもの名を呼ぶ場面もあり、個人的には感慨深かった。世の中の出鱈目さを歌う詩人でもあった中島らもがもしこの世にいたら、浪曲をどんな風に聴いてくれていただろうか。

 第41回 谷崎潤一郎賞を受賞した長篇小説『告白』(2005年、中公文庫)は、河内音頭の「河内十人斬り」から着想を得て書かれた作品である。現在も音頭として人気のある「河内十人斬り」に、初代京山幸枝若からの強い影響があることは改めて言うまでもないだろう。町田作品には、発語された時の効果を考慮して言葉を選んでいると思われる節がある。他の現代作家とは創作の取り組みが少し違うような気がするのだ。

 京極夏彦との対談(『群像』2025年11月号)で、町田はこう発言している。

 おそらくこの辺の感覚に、浪曲と町田小説の接点を考えるヒントがある。大盛況に終わった一夜が小説と浪曲の双方に新たな化学変化を起こすことを望みたい。