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2026年4月のつれづれ(町田康の木馬亭公演、雲月会長の留任と舞台復帰、浪曲「陰陽師」の新展開)

月刊「浪曲つれづれ」 第12回

天中軒雲月、会長留任と舞台復帰

 日本浪曲協会では3月に役員の改選が行われ、天中軒雲月会長の留任が決まった。正しくは、総会をもって正式決定となるのだろうか。

 1月から健康を害したため、しばらく休演していた雲月だったが、3月20日に開催された一門会で舞台復帰を果たした。外題は「男一匹天野屋利兵衛」である。以前にも1年以上に及んで休んだことがあったがその際、復帰の演目に選んだのもこの外題だった。赤穂義士のために大量の夜討ち道具を準備した利兵衛は、西町奉行・松野河内守から厳しい詮議を受ける。奉行は、利兵衛に口を割らせるため、せがれ芳松を火責めにかけるぞ、と脅すのである。この時の「あれえ、ととさま、熱い」という叫びがいかにもあどけないのが哀れで、涙を誘うのだ。雲月は「喘息の影響で喉がしゃがれてかなわない」「本当はもっと可愛い声だったんやけどな」とぼやきつつも見事に舞台を務め、復帰を飾った。

 日本浪曲協会は、2026年のテーマを「昭和101年 浪曲ルネッサンス(復興)」と定めた。毎月の興行において、昭和の名人上手一人ひとりにスポットライトを当てていく方針である。4月4日は二代目広沢虎造特集となり、玉川奈々福が「清水次郎長伝」より「石松金毘羅代参」でトリをとった。5月5日(火・祝)は三門博特集である。唯一の直弟子である三門柳が十八番「唄入り観音経」、孫弟子にあたる三門綾は「吹雪に咲く花」を口演する。いずれも三門博が鈴木啓之の名で自作した演目である。

天中軒すみれ&広沢美舟の挑戦再び

 最後にまた少し宣伝を。昨年天中軒すみれ・広沢美舟のコンビが挑戦して話題を呼んだ夢枕獏原作・浪曲「陰陽師」公演が今年も行われることは既にお伝えしたと思う。まずは第一話「琵琶玄象」(原作「玄象なる琵琶鬼のために盗らるること」)再演で、5月27日(水)19時より東京都荒川区・ムーブ町屋ムーブホール、5月30日(土)18時より京都市左京区・NAM HALLで開催される。

 それに続き、第2弾の公演も決定した。今回は原作の『陰陽師 付喪神ノ巻』(文春文庫)より「迷神(まどわしがみ)」「打臥の巫女(うちふしのみこ)」の2話、いずれも安倍晴明(あべのせいめい)最大のライバルにして理解者の蘆屋道満(あしやどうまん)登場編である。作中では源博雅(みなもとのひろまさ)の笛が重要な意味を持つことから、龍笛奏者・〆野護元の出演も予定している。

 こちらは7月25日(土)14時より小田原市・三の丸ホール、8月11日(火・祝)大阪市浪速区・ZAZA HOUSE、8月23日(日)東京都北区・北とぴあ ペガサスホールにて開催予定である。ご予約はメール(sugiemckoy@gmail.com、杉江宛)でも承っています。ぜひぜひご来場ください。

(以上、敬称略)

(毎月9日頃、配信予定)