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声優

「座布団の片隅から」 第13回

 さらに、噺の途中で唄わなければならない難しさもある。ただ落語をやるだけでも喉は乾燥してくるのに、噺の途中でいかにも師匠然として唄うわけである。全員が自分を見ている前で唄うのだ。これは余程、場慣れしているか、ナルシストでないとできないだろう笑。あとは正座。これが案外厄介で、下半身の動きが制限されるので、正座して唄ったり、大きな声を出すのは意外と難儀なものだ。

 塩野さんとお互い正座して、稽古をつけさせていただいた。稽古の模様はYouTubeのメイキングを見てほしい。

TVアニメ『あかね噺』メイキング~落語稽古篇~ [出演:#塩野瑛久]

筆者が登場する「稽古屋」の稽古は14分30秒頃から

 そして迎えた塩野さんの収録の日、私も一緒に参加させていただいた。船遊亭扇歌兄さんも噺家からモブ役で同じ日に収録だった。兄さんと僕は、声優さんたちに囲まれて、普段の楽屋と違う空気にめちゃくちゃキョドりまくっていたが、塩野さんの堂々としたこと。さすが俳優である。

 そして塩野さんの声を聞いて驚いた。声に艶と華がある! よく唄のお師匠さんから「一声二節」(いちこえにふし)と言われた。一番に声が良いというのが大事で、その次が節回しという言葉だ。艶や華を感じる声というのは、塩野さんの天賦のもので、後から身につくことはない。甘くて色っぽい声が阿良川魁生にピッタリ!! 塩野さんが落語家じゃなくて良かった! 超絶イケメンで、声が色っぽい塩野さんが同じキャリアにいたら、きっと数人の二ツ目が食えなくなっただろう笑。