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浪曲進化論
東家一太郎の「浪曲案内 連続読み」 第2回
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ダーウィンは、ミミズと友だちだった(画:原えつお)
やなせたかし先生とダーウィン博士
♪
ぼくらはみんな 生きている
生きているから 歌うんだ
ぼくらはみんな 生きている
生きているから 悲しいんだ
手のひらを太陽に 透かしてみれば
真っ赤に流れる ぼくの血潮
ミミズだって オケラだって アメンボだって
みんなみんな 生きているんだ
友だちなんだ
朝ドラ『あんぱん』のモデル、やなせたかし先生が作詞したみんなが知ってる名曲『手のひらを太陽に』。とても優しく、愛にあふれた、スケールの大きな歌です。
「ミミズやオケラのようなちいさな生きものも、私たち人間と同じ、友だちなんだよ」というこの歌詞。もしかして、やなせ先生、ダーウィンの進化論をわかりやすく歌にしたのでは!? これは一太郎の説!
6月1日に、お茶の水のアートギャラリー884で画廊浪曲会。新作浪曲「ダーウィンとメメズ」を初披露しました。このギャラリーのご縁で、映画監督の船津一さんに脚本を書いていただいた浪曲です。チャールズ・ダーウィンは、1809年生まれのイギリスの自然科学者。「ナチュラリスト」という言い方が私的には好みです。
さて、このダーウィンという人は『進化論』という説を発表して、自然科学の歴史を変えました。
「この世のすべての生きものは、共通した祖先からゆっくり変化を遂げながら、枝分かれして来た」
これがザックリ進化論。
「いま地球上には驚くほど多様な生物がいるけれども、その生命の樹の元をたどれば、みんな同じ祖先なんだよ」
という説ですから、当時、世間は大炎上し、大騒ぎになったというのもなんとなく想像できます。
ここで、やなせたかしと繋がります。ダーウィンはなんとミミズを研究していました! しかも40年の長きに渡って! 亡くなる半年前には『ミミズによる腐植土』という本を出版し、ベストセラーになります。
ダーウィンはポットにミミズと土を入れて、書斎に置いて飼い、その行動と習性を観察していました。
「なぁメメズ、君たちにオスメスはないだろう」
「ああ、雌雄同体だからな。でも恋はするし、卵も産むんだよ」
そんな心の会話をダーウィンとミミズがしていたら楽しいなぁと思って、この浪曲を作りました。また再演しますので、どこかで聞いてみてくださいね。