三櫂屋の賄い
「お恐れながら申し上げます」 第9回
- 落語
入船亭 扇太
2026/05/11
三櫂屋で奇数月に開催される勉強会「時習之会」の様子
噺家人生には活きない? 料理修業の日々
おはようございます。入船亭扇太です。
先月は、大学生の頃からお世話になっている、四谷三丁目の「三櫂屋」(さかいや)のことを書きました。いくらか頂きたいくらい、宣伝みたくなってしまいました。行ったよ、という方はいらっしゃるのでしょうか。1人でもいらっしゃるとありがたいですね、いないと思いますが。
今月は、三櫂屋でのアルバイト後の楽しみ、賄い(まかない)のことを書きます。営業中よりも、こっちのほうが色々とありました。お目汚しかと思いますが、ご一読いただけると幸いです。
三櫂屋の賄いでは、色々と食べさせてもらいました。売れ残ったお刺身は、毎日のように出てきます。当時の築地で仕入れた魚なので新鮮ですが、次の日には出せないと店長が判断したものを賄いで出してくれます。店長のジャッジは厳しいです。美味しい旬の魚を食べることができたのは、勉強になりました。

余った豚肉も出してくれます。豚しゃぶのお肉はお店でスライスしているので、どうしても余りが出ます。それを手を変え品を変え、色々な料理にして食べさせていただきました。ご飯も丼に山盛りで食べていました。今の自分の食欲からは想像できません。三櫂屋を訪れた際、たまにアルバイトの大学生が大盛りのご飯を食べていますが、見ていると気持ちのいいものです。私もやってみようと思うことはなくなりましたが。
料理も教わりました。麻婆豆腐、唐揚げ、魚の焼き方、捌き方など色々と教わりました。魚を捌くのは難しいもので、骨に身がたくさん残ります。スプーンでこそげ取ると、小鉢にいっぱいになるくらいの量が取れます。捌かれた魚からは、鮮度が失われてしまいます。クタッとした切り身は、お刺身にして食べようとは思えないほど活きが良くないです。包丁を使う人の腕によって、魚が美味しくもなればそうでもなくなるという良い勉強になりました。噺家人生には、活きない経験です。
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