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自分らしく、まっすぐに 神田菫花(中編)

「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第15回

今も追い続ける神田翠月の背中

菫花 凄いという言葉では片付けられませんが、とても凄い方です。先生は『新門辰五郎』をお読みになっていないんですが、その中の「おぬいの義侠」は先生がやりたがっていた場面で、お稽古の時に本を読みながらなんですが、それが高座と一緒の読みで、稽古なのに聴き込んでしまって感動しました。

 私のも聴いていただいたら、「もうちょっと稽古しないとね」って。その帰りにお茶をするんですが、世間話をする時とのギャップがまたかっこよくて、それでいて自分をひけらかすようなことをしない。私にとっては、講談を読む天上人のような存在です。最後まで高座に上がり続けた気力も凄かった。私の読みはまだ平板っぽいので、先生の読みの力を学びたいですね。憧れが活動の原動力であります。

菫花 あの話も先生にお願いして教えていただきました。戸田の渡し舟の場で、佐野次郎兵衛がお紺の帯を捕まえて、髪をつかんで押さえ込むと、お紺の顔に泥水がかかる場面があるんですが、先生の話からはそれがつぶさに感じられて、ゾッとしました。

(以上、敬称略)

神田菫花(講談協会 公式ホームページ)

(後編に続く)