知らぬ同士が映画館で
「コソメキネマ」 第十二回
- 浪曲
港家 小そめ
2026/04/22
坂東好太郎
加藤泰監督の『朝霧街道』という映画を観ていました。
『朝霧街道』は、1961年(昭和36年)に公開された高田浩吉主演の股旅映画です。縞の合羽(しまのかっぱ)に三度笠(さんどがさ)の主人公が海辺の砂浜を歩いてくる冒頭シーンから橋の上の一人の女、モノクロの映像が美しい。
映画も終盤、しっとりとした別れのシーンで、突然、携帯の着信音が鳴り響きました。その場の空気が声はありませんが、「ここで!? このシーンで鳴らす?!」という雰囲気で張りつめました。
しばらくすると着信音が止まり、場内の雰囲気がホッとしたのもつかの間、また同じ着信音が! 先ほどより、やや怒りのボルテージが上がった場内全体から
「まだ切ってなかったんかーい!」
という無言の突っ込みが。その無言の圧力を感じたのか感じなかったのか、なんとその携帯電話の持ち主、
「はいはい~今映画見てて~」
その瞬間、場内全体が一つになり
「電話、出るんかーい!!」
という声なき声が全員から発せられたのがわかりました。携帯電話の持ち主は、電話で話しながら外に出ていったようでした。

笠、草履。チンドン稼業なので、家に全部
揃ってます。いつでも旅に出られます~
上映が終わり、場内が明るくなると、私の近くに座っていた男性がすっくと立ち上がり、声を上げました。
「携帯電話鳴らした奴、出てこーい!」
近くにいた人も、よく言った!というような雰囲気になり、それに力を得たのか、さらに続けて
「天才、加藤泰監督に謝れ~!」
そしてその後、
「坂東好太郎、出てこーい!」
まわりの人が、えっ? 名前知ってるの? 知り合い? みたいな雰囲気になった時、その男性がちょっと照れながら
「今の映画に出ていた、悪い親分の役者だよ」
と言いました。映画を人と観るのは面白い。
携帯電話は、上映前に切りましょう。
(文中、敬称略)

▼港家小そめ X
■今回の映画
朝霧街道
監督:加藤泰
脚本:鈴木兵吾
出演:高田浩吉、 木暮実千代、中村竜三郎、北沢典子、山城新伍 ほか
公開:1961年(昭和36年) / 上映時間:83分 / 日本
▼朝霧街道 作品情報・キャスト・あらすじ(映画.com)
またまた宣伝で恐縮ですが……5月17日、ご来場お待ちしております!

第二回 浪々談々(ろうろうだんだん)
- 日程:
- 5月17日(日)
- 開場 18:30 開演 19:00
- 会場:
- 鈴座カフェ Lisa cafe
- (江東区毛利1-2-10 伊神ビル1階)
- →Googleマップ
- 出演:
- 田辺一記(講談師)
- 港家小そめ(浪曲師)
沢村博喜(曲師)
※毎回三席で、二席を交代でつとめます。
※今回は講談二席、浪曲一席、トークコーナーとなります。今回のトークテーマは「沢村博喜誕生の巻」- 料金:
- 予約 2,000円 当日 2,300円
- ご予約:
- メール → ten5560@gmail.com
(毎月23日頃、配信予定)
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