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また会えたね

「まだ名人になりたい」 第6回

ちいさな幸せ

 どうでしょう? 我が子のイメージがぼんやりしすぎて漠然としたことしか言えません。

 読者の年齢層が40歳以上だと思っているんですが、これでいいのでしょうか? 私は47歳です。同年代の子供を持った親などいるものか。まいった、まいった。

 それとChatGPTの言う「育児落語家」とは、実子との日々のやり取りや、それにちなんだ落語をやれということであって、突然、不特定多数のお母さんになれということではないのではないでしょうか。まあいいでしょう。

 私はできた人間ではないし、人に誇れるものも何もないけれど、あなたの幸せは願っていますよ。あなたがたとえ何かを成し得なかったり、何者かになれなかったとしても、私はあなたがかわいいです。

 お母さん、この間ね、寄席でびっくりするくらいウケなかったの。逃げるように楽屋を出たら、毎日雨ばかりだったのに、その日に限ってお天道様が出ていて思わず目を逸らしちゃった。人間、うしろめたいとお日様を避けるようになるんだね。あなたは大丈夫?

 ――まずい、さんざん迷惑かけて謝って一年ぶりに書かせてもらってるエッセイが、一人お母さんコントになってしまった。続けます。

 たまにはアルバムを開き、思い出に浸ることはありますか。あなたのアルバムを私が見ても、人から昨日見た夢の話を延々と聞かされるが如く、何も心が動きません。ただ、あなたが見た時に写真は意味を持ち、前後の物語が動き出す。あなたの思い出に生命を与えられるのは、あなただけです。

 私もたまにアルバムを開きます。そこにいる中学生の私は、3年間、買い替えないで済むよう買ってもらった大きめの制服を着て、近くの床屋で切ってもらった、誰にも似合わないスポーツ刈り。

 スナック菓子とテレビゲームで作り上げた神経の通わぬ頬と、動体視力だけは高い死んだ目で「え? 俺のこと撮るの? 全然写りたくないけどそっちがどうしても撮りたいって言うなら、うん、写ってもいいよ。あとブラッド・ピットに見えるように撮ってね。絶対に」という表情。

 上辺も中身も醜かったあの頃の私も、今の私には宝物。だからあなたもあなたの思い出の輝きを見逃さないでね。