2025年6月の最前線【後編】 (軍談が今、面白い! ~軍談の意義と再認識、新しい姿)
「講談最前線」 第3回
- 講談
瀧口 雅仁
2025/06/18
軍談のこれから、新しい講談の姿
今回の企画にいたる流れのきっかけを作った田辺銀冶は、今後の展開について、次のように話している。
車読み(リレーで読む講談)や、みんなで一緒に読むなどのお遊び企画。歴史家を解説者としてゲストに招いての会、全国ツアー、ほかの芸能とのコラボ。それに協会の企画「軍談ウィーク」としてはまだまだご出演をお願いしたい先生方もおりますから、第二弾にも期待してください! 軍談の夢はでっかくまだまだ尽きませんヨ!
それに付け加えるならば、貞橘の「好きな軍談は?」という問いに対する、『オグリキャップ引退』といった、一瞬、そんなとぼけた回答を!と思わせる応えにもヒントがありそうな気がする。
軍談に「いくさの話をすること」という意味があるならば、古今東西の「いくさ」=「戦い」を読むことも軍談であり、そうした出来事を読むのも講釈師のなす技と言える。
「戦い」は、色々な形でこの世の中に存在する。国同士の戦争があれば、企業戦争にスポーツマンたちの己との戦い、貞橘が挙げる競馬の名勝負や、以前、宝井一凜も読み、貞橘が受け継いだ『近鉄講談』(1979年のプロ野球日本シリーズ、近鉄対広島の対決での「江夏の21球」を読んだ講談)もそこに入ろう。先頃、鬼籍に入った長嶋茂雄の天覧試合を読んだ講釈師もあった。
今回、津の守で宝井琴調が読む『新作修羅場・和洋鍋合戦』も楽しみの一つである。そうした新しい「いくさ物語」を作り、高座で読んでいくことで、また新しい聴き手の心を掴むこともでき、その中から次世代に残る作品も生まれていく可能性も大きい。
貞橘も『オグリキャップ引退』を指して、「これは、もう少しで古典並みのクオリティの作品になりそうです」とする。こうした新しい古典講談が生まれるのも、そうは遠くないことかも知れず、また新たな軍談が世に送られるべき証拠でもある。
講談は今、面白い。そして講談を支える軍談も面白い。講談の魅力を伝える、今回の「津の守講談会」に、いざ出陣!
(以上、敬称略)
(毎月13日頃、掲載予定)
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