2026年2月の最前線(聴講記:講談協会「初席」、日本講談協会「講談広小路亭」/2月と3月の注目の公演)
「講談最前線」 第15回
- 講談
瀧口 雅仁
2026/02/15
2月と3月の注目の公演
「軍談道場 night3 ~武田信玄公生誕 505年軍談祭~」(2月19日 新宿永谷ホール)
この「講談最前線」の場でも度々取り上げてきた、講談の原点でもある「軍談」。その魅力に取りつかれた田辺銀冶が、コロナ禍に「軍談倶楽部」を始めたことにルーツがあるとも言える「軍談道場」。
今回は講談協会の定席の一つである新宿講談会の夜席で、講談界の軍談猛者達が集結して「武田信玄公生誕505年軍談祭」を繰り広げる。「505年って中途半端じゃないか!」などとは言わず、さかのぼること5年前、コロナとの戦いを終えて、いよいよ武田信玄の出陣!という会である訳だ。

出演者と読み手は、下記の通り。
神田伊織 「犀川の戦い」
田辺銀冶 「和談破れ」
宝井琴鶴 「八幡原の戦い」
一龍斎貞橘 「酒井の太鼓」
宝井琴凌 「信玄の最期」
開催日は、2月19日(木)、17時50分開演、20時30分頃終演。料金は当日3,000円(予約2,800円)。会場は新宿永谷ホール(新宿区歌舞伎町2丁目45−5 新宿永谷ビル1階)。

「講談伝承の会」(3月11日~13日 深川江戸資料館小劇場)
ここ数年は、毎年3月上旬に開催される「講談伝承の会」。人間国宝の一龍斎貞水が、生前、東西の若手や中堅の講釈師の芸の継承と研鑽を重ねるために、所属する組織や枠を超えて、ベテランの師匠から話を教わり、その成果を見せるために企画した会で、2026年は深川江戸資料館小劇場を会場に、3月11~13日の3日間、開かれる。
今年の事前情報によると、出演者は28名とあるが、講師陣も9名出演するため、結果37名の講釈師が登場。入場料も安価な上に、たっぷり楽しめることもあって、今や講談界の春の風物詩に。各日の出演者と演目はチラシの通り。
個人的に、この会では次に挙げる3点に意義を見出している。
①東西の枠を超えての演目の伝承
②協会や派閥を超えての演目の伝承
③なぜ、その先輩のその演目を教わりたかったのか
伝統芸能の世界には、一門を超えて演目を教え、教えられるということを忌避する傾向も少なくない。例えば講談では、一龍斎の義士伝、小金井の侠客伝などと言われることもあるように、それらの演目に他流派が踏み込みにくいようにだ。お家芸はその家が守ってこそという考えもあるが、他の一門が演じることで、また新しい演出なり、見せ方も表れるはずであり、それがこの会の主旨となるはずである。
また、東京から見れば、上方には東京にはかつて読まれていたが、今は……というガラパゴスのような演目もあり、反対に、上方から東京を見た時に大いに魅力を感じる演目もあるはずである。東京と上方の文化が異なることは、よく論じられることであるが、その文化の差異をも超え、新しく受け継がれる話がどんな化学反応を見せるのか。
そして、若手と呼ばれる講釈師が、なぜ、先輩である先生方のその話を伝承したいと選んだのか。漠然と、誰々先生に教わりたかったというのもあろうが、折角の機会であるだけに、そうした理由といったものもマクラ等で聴いてみたい。先人達も色々な考えや思いがあって、その話を継承し、それを自分のものとし、今度は後輩に授けるのだから尚更だ。
令和八年は「どんな話を」「どんな風に」教わり、それを「どう見せる」のか。この会の期待は大きく、ぜひとも貞水先生の遺志を汲んで、これからも継続していってほしく、今年もまた、楽しみにしている。


(以上、敬称略)
(毎月13日頃、配信予定)
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