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この鼻に かくれんぼする 白髪かな
「朝橘目線」 第13回
- 落語
三遊亭 朝橘
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さておき白髪が増えた。髪が白くなるのも、自然現象みたいなものだし、自分で言うんだから誰も傷つけない。使用に問題はない。いくら白髪が増えたとしても、染めたりする気はない。うちの師匠・三遊亭圓橘(80歳)が、数年前に白髪染めを敢行したことがあった。頭皮が痛々しいくらいに赤く腫れていた。その後、師匠は無駄な抵抗を止めた。薄いもんは薄い、白いもんは白い。あるがままでいる。実に潔い。男らしいと思う。
私はその、男の中の男の弟子である。染める気なぞ“毛頭ない”。ああ、これだと根元は染めるみたいだ。毛頭から毛根までそんな気はない。ちなみに頭髪が薄くなる可能性は、極めて低いらしい。複数の美容師・理容師の方からのお墨付きだ。
私の母方の親戚は、ことごとく髪が乏しい。法事の時、どっちが母方の親戚かすぐ分かる。子どもの頃から、「お前もいつかこうなるぞ」と散々脅されてきた。それが二十歳過ぎ、三十過ぎ、四十過ぎても減りはしない。むしろ散髪のたびに念入りに梳いてもらう。一部の親戚から、裏切り者扱いをされている。ひどい話だ。まあ今後はどうなるか、それは分からないけど。髪のみぞ知る。
悋気(りんき)の小咄で、ご本妻とお妾さんがやきもちを妬いて、旦那の髪を根こそぎ抜いてしまうというのがある。うちの師匠がよくやる。私も好き。圓橘さんを追いかけていれば、いつか必ず聴けるので、ここでの詳述はあえて省く。あれの中でご本妻が「男というのは、頭が禿げ上がったり、白くなるから貫禄が出るんじゃありませんか」と言う。年相応ってのが一番だ。だから白髪は、まあ良い。
最近、ひげが白い。毎日あたるから分かりにくいが、起き抜けに鏡を見ると、伸びたひげのうち、白く光るやつが目に見えて増えた。あ、めっきり増えた。それもまあ良い。落語家は、基本的にひげはNGだ。伸ばすことはないから、色なんてどうでもいい。つい先日、鼻毛に白いやつがいるのを発見した。これは大変なショックだった。
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