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この鼻に かくれんぼする 白髪かな
「朝橘目線」 第13回
- 落語
三遊亭 朝橘
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三月のある日、妻が立派な花束をもらってきた。仕事先で頂いたらしい。私も学校で公演すると、素敵な花束を頂いたりする。独り者の頃は、どうにも持て余していた。知り合いの飲食店に持って行くと良いと先輩に言われたが、そもそも知り合いが少ない。なまじ高価そうな花束だけに、非常に困っていた。
それが結婚してからというもの、花束を持ち帰ると妻が嬉しそうに花瓶に生ける。家の中に花があるというのが、こんなにも豊かなことなのかと、それで初めて知った。以前は一緒に行った先輩・後輩に譲っていたのが、今ではできるだけ持ち帰る。

ところが、だ。妻は花瓶に生けるまではやる。その後、水をマメに替えない。多分こう言うと妻は「私は替えている」と主張するはず。だが見たことがない。任せておくと、すぐ番茶みたいな色になっている。釣った魚に餌をやらないってのは聴くが、生けたお花に水をやらないタイプだ。道理で私も枯れていく。
三月に妻が頂いた花束も、生けっぱなしになっていたので、私が毎日水を替えた。それでも花は枯れる。でも大きな花束なので、枯れた花もあれば、まだきれいなものもあった。人生で初めて、花ばさみでパチンパチンしてみた。
花瓶を色々試し、残った花をバランス良く配置した。ずいぶん時間がかかった。一人、黙々と作業した。しばらくして完成したそれを、なぜ写真に残さなかったのか! よい出来だと、我ながら思った。帰宅した妻が、珍しく私を褒めた。嬉しかった。花を生けるのが、こんなに楽しいなんて知らなかった。うん、もうおじいちゃんだよ、俺。
しかし、枯れた部分を汚いと断じ、きれいな物だけ残す。それを愛でる。人はなんて傲慢なんだろう。そもそも植物に対しての敬意がなさすぎると思う。「雑草」って言い方、ひどくない? 花が咲く草だけ値打ちがあって、ただ生えている草は引っこ抜く。
植物界では「あんなパカパカ咲かせて、実にどうも花は野暮でゲスね」とか言われてるかもしれないじゃないか。それを人間の尺度で良し悪しを決める。そんなもん「売れてない芸人は、雑芸人なので見る価値ありません!」とか言ってるようなもんだぞ! ひどいひどすぎる!
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