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2026年5月の最前線 【前編】 (聴講記:大阪・連続講談千鳥亭 / 講談『太閤記』小考②)

「講談最前線」 第18回

11:21 旭堂南龍「孝心夫婦子 ~その12」

 珍しい演題であり、はじめて生で接する話である。武士の佐久間儀平は、飯塚弾右衛門の無礼討ちにあい、双子の小弥太と松ヶ枝の兄妹が父儀平の仇討ちの旅に出るという、玉田玉秀斎(たまだぎょくしゅうさい)が明治期に『佐久間小弥太』という題で速記を残している話であるが(人名表記に関しては異なっている可能性あり)、12話目にして物語の展開が込み入っていることもあってか、あらすじがやや長く感じた。

 連続物の場合、その日に聴く人がそれまで毎日聴いてきた訳ではないこともあるので、それまでの展開を知らせることは必要である。だが一方で、毎日聴いて楽しんでいる人もおり、前の日から進展した物語を聴きたいという欲が生じる。だからこそ、最大公約数的にあらすじをどこまで刈り込むか、そしてその日に読むストーリーに応じて、どれだけあらすじを変えいくかの判断が難しい。

 さらに連続物へのスタンスとして、どこを聴かせたいのかを考えていく必要もあり、あらすじを大胆に省略する仕方もある。話が進んでいき、複雑になってくれば、あらすじをその場面に応じて変えていく必要もあろう。時には、あらすじに当たる部分を本題の中でカットバック的に挟むといった工夫があってもいい。

 南龍の真面目で真っ直ぐな性格ゆえの丁寧な高座の表れでもあろうが、持ち時間の短い中、あらすじでなく、本題のどこを軸に聴かせていくのか。話自体も面白く、南龍の読み口にも合っているだけに、そうしたことを強く感じた。

旭堂南龍 公式Instagram

11:38 月亭希遊「三題噺」 ~ 「寝床」

 「卒業」「ヘラヘラ」「事典(辞典)」という三題をどう読み込んで演じるか。題はすでに選ばれていたようで、10日間同じ題ではあるが、その噺のテイストを毎日変えるためにクジで選んでいくという珍しい形式での高座であった。

 この日、選ばれたのは「艶噺」。希遊本人もそんなに得意でないと話していたが、確かに艶噺というよりエロ噺になりそうになったり、途中で幾度となく方向修正を行ったりと、揺れの多い実験的な噺となった。それに続く形で、古典落語の『寝床」へ。

12:11 終演

 以前は、ほぼ毎日開催していた此花千鳥亭だが、今回訪ねた10日連続開催の「講談連続千鳥亭」や、月水木に昼席を開いているなど、東京でもなかなか味わえない講談の連続物を楽しめるだけに、千鳥亭の会からは目が離せない。