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会という名の作品

「噺家渡世の余生な噺」 第13回

形なき支え

 私は、実務よりも企画・構成・運営のほうが好きだ。会場と日程が決まれば、そこから頭の中ではすぐに番組構成が始まる。ゲストは誰か。ネタは何にするか。流れはどう組むか。気がつけば、「幻の落語会」が頭の中で始まっている。この時間が、たまらない。準備期間が長ければ長いほど、内容はどんどん濃くなる。チラシや記念グッズも、こだわりが強すぎて、デザイナーには迷惑をかけていると思う。

 だが完成し、一枚目のチケットが売れた瞬間――ふと我に返る。「本当に、これをやるのか」。詰め込みすぎた構成が、急に重くのしかかってくる。それでも当日、すべてが予定通りに進み、ぴたりと終演した瞬間。あの爽快感は、なかなか他では味わえない。

 しかし、これは決して私一人の力ではない。形のない「会」と同じように、「チーム小志ん」とでも呼ぶべき、形のない支えがある。ポスターを貼ってくださる店。掲出場所を探し、チケットを預かってくださる方。そして何より、足を運んでくださるお客様。さらに――この“空想の独裁者”である私の、頭の中の段取りを先回りして、黙って整えてくださるスタッフの方々。ありがたい、という言葉では足りない。どこか、申し訳なさが混じる。

 この流れの原点は、2010年にある。鈴本演芸場で開いた「鈴本囀り(さえずり)の会」。三遊亭司、林家たけ平、そして柳家小志んの三人会だった。当時は貸席の機会があり、声をかけていただいた。初回から満員。この一席で、それぞれの“基準”が一段上がった。その後、私は毎年、東京の城東と城西で会を重ねるようになった。三年続いたその会は、満員のまま、静かに幕を下ろした。そして今は、「ひるま寄席」という形で、また別の流れを作っている。