〈書評〉 古今東西落語家事典 / 東都噺家系図
「芸人本書く派列伝 クラシック」 第5回
- 落語
- Books
杉江 松恋
2025/09/29
系図で読み解く東京落語の歴史と名跡の物語
先に挙げた二冊のうち『東都噺家系図』をここで引っぱりだしてくる。
著者の橘左近は、橘流寄席文字の創始者である右近の一番弟子である。落語研究家としても活動しており、『古今東西落語家事典』を執筆した諸芸懇話会にも参加している。『東都噺家系図』は東京落語家の名跡代々を誰が、いつ継いだかということを克明に調べた本である。系図で表されているので、時間と人の流れが一目瞭然に判るのが『東西落語家事典』にはない特徴だ。
名跡ごとに系図は分かれていて、東西における近代落語興行の祖である三笑亭可楽、桂文治については、それぞれ3ページが費やされている。当然代数が多くなればページ数も増える道理で、当代まで11を数える金原亭馬生は4ページを要した。
五代目を最後に継承者がまだ出ていない古今亭志ん生の項には2ページが使われている。ただその半分は十代目馬生の実父である五代目志ん生が用いた18の名前(うち古今亭甚語楼は2回)を記すのに使われているのである。それがいかに型破りであったか、ということが系図を眺めれば自ずと理解できる。
三遊亭百生から始まって、基礎資料の話になった。この2冊を押さえておけば、名跡に関することはだいたい理解できると思う。Wikipediaなどの記述もここから採ったものが多いし、SNSに流れてくる風聞・邪説に惑わされることもないだろう。
何年か前にアマチュア落語家が司馬龍生を名乗ると宣言して物議を醸した時期があったが、そのときも真っ先にこの2冊に目を通した。その結果、ああ、この名跡だから起きた珍事だったのだな、と納得したのであった。どういうことかは、実際に目を通していただきたい。古書価は少しするかもしれないが、図書館などには置いてある本なので。
(以上、敬称略)

- 書名 : 古今東西落語家事典
- 編者 : 諸芸懇話会/大阪芸能懇話会
- 出版社 : 平凡社
- 書店発売日 : 1989年4月
- ISBN : 9784582126129
- 判型・ページ数 : A5判・458ページ
- 定価 : ―

- 書名 : 東都噺家系図
- 著者 : 橘左近
- 出版社 : 筑摩書房
- 書店発売日 : 1999年1月
- ISBN : 9784480877130
- 判型・ページ数 : A5判・264ページ
- 定価 : ―
(毎月29日頃、掲載予定)
いま読まれています!
月刊「シン・道楽亭コラム」 第18回
ありがとうございました、龍玉師匠 ~112席の宝物
~もっともっと、あなたの落語を聴きたかった
シン・道楽亭
2026/10/10
「噺家渡世の余生な噺」 第18回
人に負けないもの
~情熱は、巡ってくる
柳家 小志ん
2026/10/14
「ずいひつかつどお」 第13回
なつさんさようなら
~夏が終わって良かった。夏なんていいところが一つもないのだから
立川 談寛
2026/10/09
「お恐れながら申し上げます」 第14回
噺家の衣替えの話
~いちばん大変なのは、半衿の縫い付け?
入船亭 扇太
2026/10/11
「“本”日は晴天なり ~めくるめく日々」 第14回
〈書評〉 たぶん、僕のジャム。 (金子学 著)
~中学校を舞台に笑いが連発する短編コント小説集!
笑福亭 茶光
2026/07/29
「“本”日は晴天なり ~めくるめく日々」 第16回
〈書評〉 殺し屋の営業術 (野宮有 著)
~凄腕営業マンが命がけで売上2億円を目指す、異色の犯罪ミステリー小説!
笑福亭 茶光
2026/10/12
「二藍の文箱」 第17回
ニッポンの祭りを呑む
~茨城・石岡の祭りで重ねた出会いと再会の物語。幌獅子、祭囃子、川海老、地酒。その土地の匂いも伝わる、味わい深いエッセイ
三遊亭 司
2026/10/02
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第13回
「継続は力なり」ではない
~僕を待っていた、悲しい結末。“計画倒れ人生”を笑い飛ばす愉快な実話エッセイ!?
桂 三四郎
2026/09/29
「くだらな観音菩薩」 第15回
阿弥陀如来
~同期であり、仲間であり、ライバルであり、親友だった蜃気楼龍玉師匠への想い。そのままの言葉、そのままの心
林家 きく麿
2026/07/16
「お恐れながら申し上げます」 第13回
深夜寄席が大変なことになっています
~新宿と復活した池袋、2つの「深夜寄席」が熱い!!
入船亭 扇太
2026/09/11
月刊「シン・道楽亭コラム」 第18回
ありがとうございました、龍玉師匠 ~112席の宝物
~もっともっと、あなたの落語を聴きたかった
シン・道楽亭
2026/10/10
「お恐れながら申し上げます」 第14回
噺家の衣替えの話
~いちばん大変なのは、半衿の縫い付け?
入船亭 扇太
2026/10/11
「朝橘目線」 第18回
かしましや カフェ見た俺の 帰り様
~カフェが苦手な落語家を人気カフェへ連れて行ったらどうなる?
三遊亭 朝橘
2026/10/08
「ずいひつかつどお」 第13回
なつさんさようなら
~夏が終わって良かった。夏なんていいところが一つもないのだから
立川 談寛
2026/10/09
「“本”日は晴天なり ~めくるめく日々」 第16回
〈書評〉 殺し屋の営業術 (野宮有 著)
~凄腕営業マンが命がけで売上2億円を目指す、異色の犯罪ミステリー小説!
笑福亭 茶光
2026/10/12
「噺家渡世の余生な噺」 第18回
人に負けないもの
~情熱は、巡ってくる
柳家 小志ん
2026/10/14
「“本”日は晴天なり ~めくるめく日々」 第14回
〈書評〉 たぶん、僕のジャム。 (金子学 著)
~中学校を舞台に笑いが連発する短編コント小説集!
笑福亭 茶光
2026/07/29
「古今亭佑輔とメタバースの世界」 第14回
恩返し
~師匠から頂いた「佑輔」という名前は、今も進む道を照らしてくれる
古今亭 佑輔
2026/10/05
「くだらな観音菩薩」 第15回
阿弥陀如来
~同期であり、仲間であり、ライバルであり、親友だった蜃気楼龍玉師匠への想い。そのままの言葉、そのままの心
林家 きく麿
2026/07/16
月刊「シン・道楽亭コラム」 第17回
演芸ファンがほしかったスマホアプリを作りました ――「ご贔屓手帖」ができるまで
~ファンの小さな困りごとから生まれたアプリの物語
シン・道楽亭
2026/09/09
月刊「シン・道楽亭コラム」 第18回
ありがとうございました、龍玉師匠 ~112席の宝物
~もっともっと、あなたの落語を聴きたかった
シン・道楽亭
2026/10/10
「古今亭佑輔とメタバースの世界」 第14回
恩返し
~師匠から頂いた「佑輔」という名前は、今も進む道を照らしてくれる
古今亭 佑輔
2026/10/05
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第41回
一途に講談を生きる 田辺いちか(前編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/07/14
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第13回
「継続は力なり」ではない
~僕を待っていた、悲しい結末。“計画倒れ人生”を笑い飛ばす愉快な実話エッセイ!?
桂 三四郎
2026/09/29
「コソメキネマ」 第十七回
玉川祐子師匠
~103歳の玉川祐子師匠、ついに『徹子の部屋』へ!! 映画は『ヤング@ハート』をご紹介。
港家 小そめ
2026/09/19
「宇宙まで届け! 圧倒的お転婆日記」 第18回
友達ほしい
~宇宙一の美人浪曲師が綴る、愛おしすぎる芸人日記
東家 千春
2026/10/03
「マクラになるかも知れない話」 第十四回
君たちはどう痩せるか
~日常の些細なモヤモヤを、落語みたいに笑い飛ばしてくれる爽快エッセイ!?
三遊亭 萬都
2026/09/25
「テーマをもらえば考えます」 第14回
師匠のコーヒーは
~笑いも苦みもたっぷり、師弟をつなぐコーヒーの思い出を綴ったエッセイ
三遊亭 天どん
2026/09/30
「くだらな観音菩薩」 第17回
善財童子
~自転車屋の陰謀から善財童子へ。妄想と悟りが交錯する、愉快な仏像コラム!!
林家 きく麿
2026/09/16
月刊「浪曲つれづれ」 第16回
2026年9月のつれづれ(奈々福がうなる日本国憲法、玉川太福と玉川祐子のテレビ出演、東家三可子・東家千春の挑戦)
~伝統を守りながら、変化する芸能の姿。浪曲の現在地を描く、月イチ浪曲レポート
杉江 松恋
2026/09/15
「くだらな観音菩薩」 第15回
阿弥陀如来
~同期であり、仲間であり、ライバルであり、親友だった蜃気楼龍玉師匠への想い。そのままの言葉、そのままの心
林家 きく麿
2026/07/16
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第10回
ああ…麗しの吉本興業……
~吉本興業を辞める話なのに、なぜこんなに爆笑してしまうのか!?
桂 三四郎
2026/05/12
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第9回
優雅な航海中の後悔を公開
~“憧れの仕事”から繋がる伏線が鮮やかな船旅エッセイ!!!
桂 三四郎
2026/04/13
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第11回
オシャレは落語家を変える
~バレたら破門の危険なオシャレ!?
桂 三四郎
2026/06/28
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第12回
プロレタリアの街
~「絶対にここに戻ってきたらあかんで」そう言われた青年は22年後、落語家として帰ってきた。笑って最後にじんとくる実話エッセイ!!!
桂 三四郎
2026/08/10
月刊「シン・道楽亭コラム」 第18回
ありがとうございました、龍玉師匠 ~112席の宝物
~もっともっと、あなたの落語を聴きたかった
シン・道楽亭
2026/10/10
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第5回
落語家の夢
~俺の目は、まだ濁っていない!!!
桂 三四郎
2025/11/27
「令和らくご改造計画」
第四話 「初心者よ永遠なれ」
~AIが落語を演じる時、それでも人は笑えるのか?
三遊亭 ごはんつぶ
2025/11/12
「令和らくご改造計画」
第六話 「若手人気落語家殺人事件 【事件編】」
~古典派と新作派の溝!?
三遊亭 ごはんつぶ
2026/01/12
「艶やかな不安の光沢」 第1回
謂れなきものたちの飛躍
~年始からとちってしまった芸人の胸のうち
林家 彦三
2026/02/12
編集部のオススメ
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第13回
「継続は力なり」ではない
~僕を待っていた、悲しい結末。“計画倒れ人生”を笑い飛ばす愉快な実話エッセイ!?
桂 三四郎
2026/09/29
「令和らくご改造計画」
第十四話 「踊る金持ちピエロ」
~最近の前座さんたちは、時々おかしい
三遊亭 ごはんつぶ
2026/09/12
月刊「シン・道楽亭コラム」 第17回
演芸ファンがほしかったスマホアプリを作りました ――「ご贔屓手帖」ができるまで
~ファンの小さな困りごとから生まれたアプリの物語
シン・道楽亭
2026/09/09
「座布団の片隅から」 第17回
好楽
~祝・傘寿! タフすぎる三遊亭好楽師匠の宴
三遊亭 好二郎
2026/09/07
「オチ研究会 なぜこのサゲは受けるのか?」 第十七回
四段目、 そば清、 愛宕山
~初心者でも楽しめる、オチがもっと面白くなる落語入門
林家 はな平
2026/09/06
「艶やかな不安の光沢」 第4回
N氏の碑から浪江の海まで
~長崎の碧い海から、忘れられない故郷の海へ。喪失と希望のロードムービーのようなエッセイ
林家 彦三
2026/09/04
「宇宙まで届け! 圧倒的お転婆日記」 第17回
ありがとう失言、待っているよ暴言
~宇宙一の美人浪曲師が綴る、愛おしすぎる芸人日記
東家 千春
2026/09/03
「くだらな観音菩薩」 第15回
阿弥陀如来
~同期であり、仲間であり、ライバルであり、親友だった蜃気楼龍玉師匠への想い。そのままの言葉、そのままの心
林家 きく麿
2026/07/16
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第41回
一途に講談を生きる 田辺いちか(前編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/07/14
掲載記事300本記念
〈掲載記事300本記念〉 柳家さん喬師匠 スペシャルインタビュー【前編】
~小さん師匠の「おめでとう」から始まる新しい年
話楽生Web 編集部
2026/01/25