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恩返し

「古今亭佑輔とメタバースの世界」 第14回

恩返しができない!?

 ところで、「人を助ける」とは何だ。

 そんなことが、どうしたらできるか分からない。目の前で人が倒れていれば無論助けるし、「助けて」と言ってもらえれば、いつでも助けたいとは思うが、そんなことは日常的にそう起こらない。

 「助ける」とは少し違う気もするが、とにかく頂いたご恩は返さなくては。しかし、師匠に恩返しをするのも容易ではない。何をもって恩返しと言えるのか。芸に精進してみるものの、すぐに「恩返しができた」と言えるほどの結果は出せない。

 落語家で居られるだけで幸せなのに、日々有難いお言葉をくださり、見守ってくださる。結局、救われることばかりだ。そもそも、師匠に恩返ししようなどということはおこがましいのかもしれない。

 まずは、自分にできることを考えてみると、後輩に返していくことなのかもしれない。自分もたくさんの先輩にご馳走していただいたり、有難いお言葉を頂いてきた。そう、そうやってこの業界はまわっている。なんと、素敵な社会だろうか。

後輩にも恩返しができない!?

 できないというか、恩返しができているのか分からない。

 ご馳走をするくらいのことはできるのだが、それが恩返しになっているか否か、相手の思考の範囲まではさすがに分からない。それに自分なんかが助けなくとも結構、皆しっかりしている。

 余計なお世話にはなりたくない。――この辺は不得手であるのも事実だが、「人との繋がりが希薄な令和の時代、仕方がないことかもしれない」と言い訳をしてみる。とにかく、自分にできることはやっていく。