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2025年6月の最前線【前編】(軍談が今、面白い!~津の守講談会・軍談ウィーク)
「講談最前線」 第2回
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講談道場のメンバー。左から、田辺銀冶、宝井琴鶴、神田伊織、一龍斎貞橘、宝井琴凌(宝井琴鶴・提供)
講談はいつも面白い。そして講談はいつも新しい――。
講談の魅力って? 講談ってどこで聴けるの? どんな講釈師がどんな講談を読んでいるの?と、それにお応えするべく、注目したい講釈師や会の情報、そして聴講記……と、講談界の「今」を追い掛けていきます。
軍談、修羅場は難しくなんかない!
講談協会が7月1日~7月3日の三日間、毎月、四谷荒木町で開いている「津の守講談会」で、若手を中心とした「軍談ウィーク」を開催する。
「軍談」はいわば、講談/講釈の原点。その言葉が背負うイメージのように、講談というと、「硬い! 難しい!」という声がこれまで少なからずあった。
講談の起源には「太平記読み」があり、軍談を講ずることに始まったため、その独特な「読み」にハードルを感じてしまうのかも知れない。
だが、そこには「修羅場読み」(しゅらばよみ)と呼ばれる、激しい戦闘の場面などを日本語特有の七五調で読み上げる言葉の流れと響きがあり、言葉の合間にそれぞれの演者の個性を感じ取ることができたりと、修羅場が活きる「軍談」は、そうした点でも講談の軸にあるものとして、決して欠くことのできない読み物と言える。
だからこそ講釈師になると、まずは前座修業の一環として、『三方ヶ原軍記』や『甲越軍記』といった歴史物を淡々と読む「修羅場読み」から始まる訳だ。
とは言え、何も「軍談」イコール前座の読み物という訳ではない。落語で言えば、前座噺と位置付けられることの多い『道灌』や『たらちね』といった噺を、ベテラン演者が演じた時に、「こんなに面白いのか!」と感じることがあるように、講談だって、芸歴を重ね、数多くの高座を経験し、様々な話に取り組んできたベテランが、講談の基にある「軍談/修羅場」を奥深い読み物として聴かせてみせることができる。
常々、「講談は今、面白い!」と言い続けているのは、ここに来て、若手や中堅の演者が「軍談」の魅力=「講談」の魅力を再認識し、改めて挑み始めているからだ。