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六月のテーマ・虫歯予防の日
三笑亭夢丸の「エッセイ的な何か」 第1回
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親の仇とばかりに、ゴシゴシこすってた!(画:三笑亭夢丸)
寄席芸人は歯が命
今月より、話楽生Webの編集部からいただいたテーマでだらだらとエッセイらしきものを書かせていただくことになりました、三笑亭夢丸と申します。お暇な時にでもお読みいただければ、幸いでございます。まあ、物凄く忙しい人は、そもそもここまで辿り着かないとは思いますが……。
で、第1回目の六月にいただいたお題が、『虫歯予防の日』。六(厶)四(シ)というありがちな語呂合わせで、六月四日は虫歯予防デーなのだそう。
ほかにも、この日は『虫の日』『ムシの日(前者とは別扱い)』『水虫治療の日』『ムシキングの日』『蒸し湯の日』『蒸しパンの日』『蒸し豆の日』でもあるらしい。もう記念日が「ムシ」だけでかぶり過ぎな気もするが、今回のお題はあくまでも『虫歯予防の日』。
しかし、予防の日と言っても、六月四日だけゴシゴシ一生懸命歯を磨いたところで、虫歯予防にはなるまいに。そこで、このたび自分のブラッシングを見直してみることにした。
思い起こせば二十年ほど前、前座で名古屋の大須演芸場に泊まり込みで勤務していたとき、朝の歯磨き時に太神楽の鏡味正二郎師が、それはもうイカツい電動歯ブラシを使っておられました。
「兄さん、ずいぶん高価そうな歯ブラシですね」
「歯がなくなっちゃったら、仕事ができなくなるからね」
なるほど、「糸渡り」や「くわえ撥(バチ)」、歯を使ったりする曲芸には、直接影響があるのだ。それゆえに、歯磨きにはお金を掛けているそうだ。
やはり、歯は大事。噺家もしかり。名を成した師匠たちも、歯を悪くされたのが原因で高座から遠ざかった方々は多いと聞く。寄席芸人は、「歯が命」なのだ。
その金言を聞き、「ようし、僕だって!」とその日から、生意気にも電動歯ブラシを使用しているのだが、そういや二十年間、特に使い方など大して気にもせずに漫然と磨いていた気がする。
この際、正しい電動歯ブラシの使用方法を調べてみようではないか。