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シン・道楽亭、誕生前夜から今へと続くキャリー・ザット・ウェイト Part.3

月刊「シン・道楽亭コラム」 第13回

 シン・道楽亭運営にあたっては、おかみさん(橋本夫人)にも手伝いを願い出た。

 「これまで通り打ち上げをやりたいので、料理を手伝ってもらえませんか」と、言い終わるや否や、食い気味におかみさんは顔を左右に振った。「毎日、新宿で買い出しをして、夏なんて本当に大変なんです。できません」と即答され、私の打ち上げ戦略はあえなく頓挫した。それと同時に、おかみさんのこれまでのご苦労が身に染みて感じられ、無理強いはできないと思われた。

 道楽亭のスタッフの方々にもお手伝いを願う、という考えもあった。勝手知ったる方々だからだ。道楽亭を知るリソースは、何でも生かしたかった。ところが、明確に、意地悪をされた。具体的な描写は省くが、明らかに私は邪魔された。目の前で「これに全部書いてあるの」とノートをちらつかせながら、それを見せてくれることもなかった。本性が見えた。

 道楽亭のサイトを担当していた方には、いまだに世話になっている。敵もいれば味方もいる。「店の常連でもなかった渡邉が何で?」そんな嫉妬のような感情を持たれても当然だろう。いろんな方の人間性が少しずつあらわになっていく時間だった。

 複数の女性(私は声に聞き覚えがあった)が、「何で継ぐんだろうね」「ほかで物件を借りてやればいいじゃん」「道楽亭の機材も古いのに」などと会話をしている音声を、私に届けてくれた人もいた。この音声の存在は、これまで誰にも言ってこなかった。ただ、「こんな音声が届きました」とおかみさんにだけ聞かせたことがあった。私の中で、引き継ぎ確率が一桁近くに落ち込んだ。しかし、私はそこからパワーを回復することになる。