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ああ…麗しの吉本興業……

「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第10回

元カノ?

な、なんと吉本興業グループ「大崎洋」会長だったのだ!!

ヤ○ザに会いに行ったら、まさかの吉本興業のトップの人間にばったり出くわしてしまった!!

さっきまで「大崎出てこい!! いつでも辞めたらあ!!」と息巻いていたが

いざ出てこられると困ってしまい

「あの……。文枝の弟子の桂三四郎です……」

と丁重に挨拶をしてしまう体たらく。

「なんか、あの、最近、会社大変ですねぇ」

まるで他人事のように、M迫事変の話をもちかけてみた。

「ほんまになあ、あいつもアホやで。しょうもないことしたら、誰も笑ってくれへんようになるで」
「そうですよね~」
「三四郎くんも、気をつけなあかんで~。今はそういう時代じゃないからな~」

まさか、ヤ○ザに会いに来たとは言えるはずもない。

思った以上にフランクで話しやすい大崎会長と談笑している時に、事件は起きた。

いつもこの銭湯で出会う「水曜日はヤ○ザばっかりだよ」おじさんが入ってきたのだ!! やばい!!!

おじさんは僕の顔を見るなり、開口一番

「兄ちゃん、ここの銭湯はよ~、ヤ○ザばっかりなんだよ!!」

やめろばかタレ!!

隣にいるお方を、どなたと心得る!!!

吉本興業株式会社、大崎洋会長なるぞ!!!

そんなお方の前で、こんなこまいこまい若手落語家がヤ○ザに会いにきたと知られたら

大変なことになるやろ!!!!!

「水曜日はヤ○ザばっかりだからな~」

おじさんはいつもの調子を全く緩めない!!

「ヤ○ザに会いたかったら、もう少しここにいるといいよ」

何ぬかしとんねん!!!

アホか!! 黙れ!!!!

そう心の中で叫んでいると、スーッと大崎会長はサウナから上がって行ってしまった。

この会話を聞き流してくれたのか、興味がなかったのか今となっては知るよしもないが

おじさんに

「さっきの、吉本の会長の大崎洋さんですよ」

と伝えると

「おー知ってるよ!! 大崎ってのは、明石家さんまの弟だろ?」

と訳のわからない知ったかぶりをかましてきたので

「そうなんです」

と否定せずにサウナから出た。

あの騒動から約7年

紆余曲折あって、吉本興業を離れることになった。

一応、完全退所ではなく「営業サポート契約」という形になるらしい。

簡単にいうと「専属でないけど、またなんかあったら声かけさせてもらいまっさ」ということだ。

恋人で例えると「いっぺんお別れするけど、またちょいちょい飯行ける関係ではおろうな」という感じだろう。

僕にとって、吉本は元カノみたいな存在となった。

SNSで所属を離れる報告をすると、ありがたいことに反響もあり、Yahoo!ニュースにも取り上げてもらえたりもした。

これでもう自分の仕事が「闇営業」と呼ばれることはない。

すべてが「光営業」だ。