ああ…麗しの吉本興業……
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第10回
- 落語
桂 三四郎
2026/05/12
元カノ?
な、なんと吉本興業グループ「大崎洋」会長だったのだ!!
ヤ○ザに会いに行ったら、まさかの吉本興業のトップの人間にばったり出くわしてしまった!!
さっきまで「大崎出てこい!! いつでも辞めたらあ!!」と息巻いていたが
いざ出てこられると困ってしまい
「あの……。文枝の弟子の桂三四郎です……」
と丁重に挨拶をしてしまう体たらく。
「なんか、あの、最近、会社大変ですねぇ」
まるで他人事のように、M迫事変の話をもちかけてみた。
「ほんまになあ、あいつもアホやで。しょうもないことしたら、誰も笑ってくれへんようになるで」
「そうですよね~」
「三四郎くんも、気をつけなあかんで~。今はそういう時代じゃないからな~」
まさか、ヤ○ザに会いに来たとは言えるはずもない。
思った以上にフランクで話しやすい大崎会長と談笑している時に、事件は起きた。
いつもこの銭湯で出会う「水曜日はヤ○ザばっかりだよ」おじさんが入ってきたのだ!! やばい!!!
おじさんは僕の顔を見るなり、開口一番
「兄ちゃん、ここの銭湯はよ~、ヤ○ザばっかりなんだよ!!」
やめろばかタレ!!
隣にいるお方を、どなたと心得る!!!
吉本興業株式会社、大崎洋会長なるぞ!!!
そんなお方の前で、こんなこまいこまい若手落語家がヤ○ザに会いにきたと知られたら
大変なことになるやろ!!!!!
「水曜日はヤ○ザばっかりだからな~」
おじさんはいつもの調子を全く緩めない!!
「ヤ○ザに会いたかったら、もう少しここにいるといいよ」
何ぬかしとんねん!!!
アホか!! 黙れ!!!!
そう心の中で叫んでいると、スーッと大崎会長はサウナから上がって行ってしまった。
この会話を聞き流してくれたのか、興味がなかったのか今となっては知るよしもないが
おじさんに
「さっきの、吉本の会長の大崎洋さんですよ」
と伝えると
「おー知ってるよ!! 大崎ってのは、明石家さんまの弟だろ?」
と訳のわからない知ったかぶりをかましてきたので
「そうなんですー」
と否定せずにサウナから出た。
あの騒動から約7年
紆余曲折あって、吉本興業を離れることになった。
一応、完全退所ではなく「営業サポート契約」という形になるらしい。
簡単にいうと「専属でないけど、またなんかあったら声かけさせてもらいまっさ」ということだ。
恋人で例えると「いっぺんお別れするけど、またちょいちょい飯行ける関係ではおろうな」という感じだろう。
僕にとって、吉本は元カノみたいな存在となった。
SNSで所属を離れる報告をすると、ありがたいことに反響もあり、Yahoo!ニュースにも取り上げてもらえたりもした。
これでもう自分の仕事が「闇営業」と呼ばれることはない。
すべてが「光営業」だ。
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