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弟子になる

「コソメキネマ」 第十三回

師匠、港家小柳

 浪曲を聴き始めて程なく、木馬亭の浪曲定席にも足を運ぶようになりました。月に一、二回くらい、気が向いた時にふらっと。

 浪曲定席に通ったことのある方は経験あることかなと思いますが、定席のチラシに載っている、まだ聴いたことのない浪曲師の人を順番に聴いていくというのを、当時の私もやっていました。

 2013年(平成25年)の7月。木馬亭の客席で定席のチラシを見ながら、次は「港家小柳」という人か、まだ聴いたことがないなと思っていました。

 アナウンスが流れ、幕が開くと小柄な年配の女性が出てきました。三味線は、沢村豊子師匠。簡単な挨拶をして、唸りはじめました。話が進むに連れ、節のグルーヴ感がとてつもない渦になって客席に広がっていました。

 知らず知らずのうちに体が前のめりになっていく。十五人ほどの客席でしたが、どのお客さんもそんな様子でした。客席の盛り上がりを受けて、ますます舞台上のグルーヴが増していく。

 最後の方はもう夢中で、ああ、もうすぐ終わっちゃうのか、もっとずっと聴いていたい、終わらないでほしいと祈るような気持ちで聴いていました。終わってからも興奮冷めやらず、スキップしながら帰ったような気がします。

 次の日も「港家小柳」の出番があり、行く予定ではなかったのに勇んで木馬亭に行き、ああ!やっぱりすごい~!と打ち震え、8月の定席も二回あった出番に駆け付け、四回しか聴いていないのに、もうその頃にはすっかり小柳ファンになっておりました。