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あの日、宝塚で人生の幕が上がった

「かけはしのしゅんのはなし」 第16回

 開場時間まで、付近を探索。

 日比谷シャンテにある宝塚歌劇のオフィシャルショップに行ってみると、ブロマイドやグッズが整然と並ぶラグジュアリーな空間。じゃがいも小僧に居場所はありません。「やっぱり場違いだったか」と、肩身を狭くしながら劇場へ向かいました。

 扉が開く。
 列が動き出す。
 先頭が続々入場し、エントランスロビーが見えてくる。

 一歩足を踏み入れると、外界の喧騒が遠のき、非日常の華やぎに満ちた大空間が広がっていました。

 一番に目を奪うのは、緩やかな曲線を描きながら2階へと伸びるレッドカーペットの大階段。頭上からは眩いシャンデリアの光が降り注ぎ、深紅の絨毯を照らし出しています。初めて新宿末廣亭の木戸口をくぐった時と同じ、あの「異世界へ足を踏み入れた」高揚感。……新宿末廣亭は、薄暗かったな。

 購入できた席は、舞台から一番離れた2階の最後列付近。しかし座ってみると全く遠さを感じない。どの座席でも舞台を楽しめるように計算し尽くされた造りなのでしょう。

 「きみ、一人で来たの?」

 隣に座っていた50代くらいのおじさんが話しかけてきました。どうやら通い詰めている常連さんのようです。初めて観に来たと伝えると、嬉しそうに教えてくれました。

 「今回の雪組トップスターは水夏希(みずなつき)で、2番手が彩吹真央(あやぶきまお)なんだよ。この2番手っていうのがまた奥が深くてね……」

 なんだか大変な世界です。そういえば、初めて末廣亭に行ったときも隣のおじさんに話しかけられたな、なんて思い出しました。