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かしましや カフェ見た俺の 帰り様

「朝橘目線」 第18回

 そんな自分にとって、相性が悪い場のひとつが、カフェである。

 カフェについては、記念すべき連載第1回で述べた。およそカフェに近寄るべきではない輩の妄言を書き殴っている。コーヒーの香りをじっくり楽しむ、座って静かな時を過ごす、できる気がしない。

 そんな私を最もよく知るはずの人間が、しばしば私をカフェに連行する。

 九月某日、その者の父、私にとっては義父の住む那須塩原へ出かけた。久しぶりに孫と会い、嬉しそうな義父。子どもが祖父と遊ぶ様子に妻も安堵し、私にコーヒーを飲みに行こうと提案してきた。「至高のカフェがある」と。

 ムズムズする私を見て楽しみたいのか、相反する性質の物をぶつけて対消滅を狙っているのか。どうせやることもなし。この勝負、受けて立つことにした。来るなら来い。あ、こっちが行くのか。

 休日で混み合う道を車で行くこと数分、「NASU SHOZO CAFE」に到着した。本店は台東区根岸にあるかと思ったら、黒磯という所らしい。東京の表参道にも支店を構える、かなりの有名店だそうな。初見の私には何の予備知識もない。

 一方、福島県出身の妻は、以前より何度も来店している古参。ショウゾウだのコサンだの、落語協会新体制についての記事みたいでいけない。

 広い駐車場は車でいっぱい、停める場所を探すのも一苦労だ。そぼ降る雨の中、車を降りる。店の前に看板が立っていた。

 “大きな声での会話はご遠慮ください。”

 私が来ると知って急いで設置したようには見えない。それにしても完璧なジャブだ。ジャブを制する者は世界を制す。なるほど、ただのカフェじゃあないようだ。