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かしましや カフェ見た俺の 帰り様

「朝橘目線」 第18回

 店内は満席で、しばしの待ち時間の後、窓際の席に通された。

 椅子が二つ、窓に向かって並べて置いてある。外の景色もご堪能ください、ということだろう。窓際ってのは追いやられるだけじゃないらしい。メニューを見る。古参の妻はスコーンがおすすめだと言うが、スコーンは湖池屋で足りているので、チーズケーキと浅煎りコーヒーのセットを頼むことにした。妻は湖池屋セット。

 ほどなくして、黒の上下の店員さんが、後ろから肩越しに声をかけてくる。少し振り向く。おお……これ、良いな。正面や横から来るのと違う趣きだ。

 注文した品が、丁寧に置かれる。

 チーズケーキの横に生クリームが添えてある。ほぉ……と内心思いつつ、フォークで一口分切って、生クリームを乗せて、口へ運ぶ。ほぉぉぉ……クリーム、甘くないのか。あー、これはいかんよ、やり過ぎですよショウゾウ師匠。飲めちゃうよ、このチーズケーキ。

 そしておもむろに、コーヒーを啜る。浅煎りだが苦みもあり、しっかりした飲み応え。カロリーボムにもちゃんと受け身が取れる。口の中が喜びでいっぱいだ。

 静かな店内。窓に向かっているため、周りの客も気にならない。目に映るのは窓の外。雨に濡れたウッドデッキ、その向こうには木々が生い茂る。さすがショウゾウ、外は林や!とか言う気にもならない。

 「……ここは雨の日のほうが、良いかもしれないね」

 と小声で呟く。長年の調教でついに人語を覚えた獣を見るような目で、妻が「そうなの」と同意した。二の句は要らない。幽玄の時が流れる。不思議な気持ちだ。

すっかりくつろぐ私。隠居の面持ち

 人がどのタイミングで寿司を食おうが、ピザが冷めようがどうでもいい。そもそもピザは喋らない。この空間を保つためには、大声禁止にもしたくなる。この私が――騒音公害魔人のこの私が――そう思った。

 SHOZO CAFE恐るべし。これからも、ずっとずっとその先も、このメンツ、このやり方、このカフェで、あり続けてほしい。