NEW

かしましや カフェ見た俺の 帰り様

「朝橘目線」 第18回

 今は自宅でこれを書いている。

 なんであの時、作業用のパソコンを持参しなかったんだろう。SHOZO CAFEのあの席なら、もっともっと良いもん書けるんじゃないか。でも連載のために毎月行く予算はない。それは文豪の待遇だ。

 最近は「再現レシピ」なんてのが流行っている。その店に行けない人が、限りなくそれに近い、ジェネリックな味を体験するためのもの。つまり「家SHOZO」ができれば良いわけだ。恐らくポイントは、窓に向けて座ること。ほかは家にあるもので間に合わせよう。

 早速、作業机を窓の方に移動してみた。お隣さんち……リフォーム工事してる……。カンカンカンカン、うるさくて仕方ない。雨に濡れた足場、その上には外国人の作業員。鋭い目でこっちを見ている。

 「……工事は晴れの日のほうが、良いかもしれないね」

 小声で呟いたが、彼は同意しない。聞こえてないから、するわけない。その代わり、窓の外で仲間の作業員たちと、何やら甲高い声で話している。ねえ、何? 何を申し送りしてるの? 無性に喉の渇きを覚え、冷蔵庫からスーパーで買ったボトルコーヒーを取り出し、飲み干す。味がしない。ケーキもない。甘いと言えば、自分の見通しくらい。静かな室内。不思議な気持ちだ。

 人がどのタイミングで寿司を食うのか、冷めたピザを残す奴はいないか――。世の中に対する謎の怒りが湧いてくる。なんで俺が、こんな窓際に追いやられなくちゃならないんだッ! ……これはSHOZOじゃない。窓際族だ。やはりSHOZOはご家庭で、安易に再現できるものではない。あの場に赴き、対価を払うのが筋である。

 「STOP! SHOZO権侵害」

▼1988 CAFE SHOZO

▼NASU SHOZO CAFE(那須観光【公式】TOWAピュアコテージ)

(以上、敬称略)

▼三遊亭朝橘 公式ウェブサイト

https://choukitsu.com

▼三遊亭朝橘 X

https://x.com/Kitsuya3ut

(毎月8日頃、配信予定)