NEW

人に負けないもの

「噺家渡世の余生な噺」 第18回

14年ぶりに、あの男が帰ってきた

 そんな折、映画『踊る大捜査線』の最新作が公開された。

 私にとって、このシリーズは少々特別な作品である。テレビドラマが始まったのは、1997年1月。私が就職したのは、その前年だった。ようやく仕事にも慣れ、連続ドラマを楽しむ余裕が出てきた頃である。

 脱サラして警察官となり、ようやく刑事になった青島俊作。織田裕二さんが演じる、あの青島の姿に当時の自分を重ねていた。仕事に慣れたとはいえ、まだ何者でもない。これから何かを成し遂げられるのか。そんな気持ちを抱えながら、毎週、次の放送を待っていた。それ以来、スペシャルドラマも映画も何度となく見返してきた。

 前作から14年。2026年9月18日、シリーズの新作『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』が公開された。物語の細部には少々引っかかるところもあった。だが、今回の作品を「情熱は人から人へ受け継がれ、やがて自分自身にも返ってくる」という話として受け取るなら、私には十分に見る価値があった。

 青島は今も現場にいる。かつての同期は出世し、管理する立場になっている。後輩たちも、それぞれの立場を得た。だが、組織の仕組みや上下関係はそう簡単には変わらない。かつての志を胸に働いてきた者も、いつしか現実に折り合いをつけるようになる。

 そんな中で、若い刑事が情熱を失いかけている。青島は若者をただ励ますだけではない。現実の厳しさも教える。それでも彼自身が持ち続けてきた情熱が、若者の心に火をつける。その姿を見て、周囲の者たちもかつて自分が抱いていた思いを取り戻していく。

 誰かの情熱に触れたことで、自分の中に眠っていた情熱が目を覚ます。そして、青島自身もまた、もう少し頑張ってみようと思い直す。大きな組織を一朝一夕に変えることはできない。だが、人の気持ちを変えることはできるのかもしれない。私は、そんなふうに受け取った。