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映画

「座布団の片隅から」 第19回

 文字通り“太陽を盗んだ”城戸がこの後どうなっていくのか……。

 このあらすじだけ見ても、ぶっ飛んだ設定だということがわかるだろう。昭和ならではの圧倒的なエネルギーと、荒削りながら美しいまでの疾走感に溢れた昭和映画の名作だ。それが4Kリマスターされるなんて!!

 早速、日比谷のTOHOシネマズの座席を予約して行ってきた。電車のチケット予約がままならない僕が、映画のチケットになるとなぜこんなに簡単に取れるのだろう。ただ座席をおさえるだけなのに。

 上映前に館内のグッズショップに行くと、すでに行列ができていた。みんなの目当てはもちろんパンフレット。公開当時のものを完全再現した一品である。ほしい!! 行列の一番後ろに並んだのに、すぐに順番が回ってきてあっさり買えた。

 みどりの窓口では冷や汗を流しながら自分の番を待っていた僕が、どうして映画のパンフレットになるとこんなに簡単に買えてしまうのだろう。

 あっさり入れた映画館で『太陽を盗んだ男』を観ながら、初めて本作品を観た時の思い出がよみがえってきた。

 当時、僕は大学4年生だっただろうか。モラトリアム期間の終わりが見えてきたころ。大学生でいられるうちは、井の中の蛙よろしく、校内でイキッて「自分は特別だ」と勘違いできたものだ。そんな僕にも“就職活動”という試練がやってきた。モラトリアム期間の終焉である。

 案の定、大学4年生になっていざ就職活動が始まると、途端にまわりについていけず、僕は人生が、ある種終わったことを悟った。まさか自分が電車のチケットを予約できないタイプの人間だとは思っていなかったのだ(笑)。

 自分が何者でもないことに気づき、映画に心の救いを求めた僕は当時、TSUTAYAの特集本や雑誌『POPEYE』で紹介された映画を観あさって現実逃避することになる。

 その頃に『太陽を盗んだ男』に出会った。主演のジュリー演ずる城戸誠の空虚感・虚無感・孤独感が当時の僕に刺さりまくった。この美しい退廃感は、どこから出てくるのだろうか。