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第十話 「オチログ」

「令和らくご改造計画」

#8

 そんな複雑な思いを抱えていた頃、事態は突然変わった。

 オチログが、サービスを終了したのである。

 理由はとてもシンプルだった。

 「前座はアプリを開発してはいけない」

 という楽屋内での小言である。アプリを開発した算用亭でん吉はまだ前座であり、前座という身分には「修業以外のことをしてはいけない」という教えがある。

 なんとも、あっけない結末であった。

 こうしてオチログは終了し、落語家たちはレビューの呪縛から解放された。

 今では皆再び、のびのびと落語をやっている。そしてほんの少し、以前よりも広い層に向けてあれこれ考える落語家も増えた気がする。そういう意味では、今回の試みは良かったのではないか。

 ところで、考えてみれば、前座さんが何かをしたことで事態が良くなったのは、これが初めてかもしれない。

 そんなことを思っていると、星亭れびうがやってきた。

 「兄さん」
 「れびうさん、君のおかげで落語界がちょっと良くなったよ。ありがとうね」

 そう声をかけたが、彼女にはまるで届いていないようだった。虚ろな目をして、ニタニタと笑っている。

 「どうしたの?」

 そう聞くと、彼女は静かに言った。

 「アプリを開発したでん吉兄さんが二ツ目に昇進するまで、あと半年ほどです」

 嫌な予感がした。

 「つまり、半年経てば、またオチログは復活します」

 そう言って、彼女は笑った。

 「そうなれば、再びこの業界は淘汰されていくでしょう。そうすれば、落語の未来は……ィアッヒャッヒャッヒャー!! アバババ……」

 笑いすぎで、泡を吹いて気絶してしまった。

 それにしても、どうして前座さんは皆、こういった過激な解決方法を好むのだろうか。

 また、いつも引っかかるのは、彼ら彼女らが時々、自我を失っているように見えることだ。まるで何者かに操られているように、不自然な動き、不自然な表情で、不自然な発想を繰り出す。

 一体どうなっているのだろう。

 何より、今の前座さんは、どうしてこうも落語の未来に変革を起こそうと、強く思っているのだろうか。

 ……やはり最近、楽屋の様子がおかしい。

― 続く―

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