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天狗裁き、 親子酒、 二番煎じ
「オチ研究会 なぜこのサゲは受けるのか?」 第十五回
- 落語
林家 はな平
2026/07/06
四十四席目 親子酒 (おやこざけ) ★★
[ワンポイント]
酔っ払いをいかに面白く演じるかで、印象が大きく変わる噺である。親子そろって酒好きという設定だけでも十分可笑しいが、互いに酔っているため、話が妙に成立してしまうところが最大の魅力だ。演者ごとの酔い方の違いにも注目したい一席である。
◆【あらすじ】
ある商家の大旦那と若旦那は、大の酒好き親子。
父親は息子の酒癖が悪いことを心配して、二人で禁酒をしようと持ちかける。息子も納得して出掛ける。
しばらくして女房と二人きりになった父親は、やっぱりお酒が飲みたくて仕方がない。頼み込んで、酒を飲ませてもらう。一度飲み始めたら止まらない父親は、ずぶろくに酔っ払ってしまう。
そこへ禁酒の約束をした息子が帰ってきた。酒を飲んでいたと悟られないために、素面(しらふ)を装う父親であったが……
◆【オチ】
息子は戸を開けて入ってくると、倒れ込みながら「ただいま、帰りました」と言う。実は息子も酔っていたのだ。出入り先の旦那に勧められて、機嫌良く飲んできてしまったという。怒った父親は女房に向かって
父親 「ばあさん、見てごらんよ。倅(せがれ)の顔が七つにも八つにも見える。ダメだ、こんな化け物にこの身代(しんだい:財産)は譲れません」
これを聴いた息子が体を揺らしながら
息子 「冗談言っちゃいけない。私だってこんなぐるぐる回る家もらったって、しょうがねえ」
◆【解説】
父親も息子もめちゃくちゃのことを言っているのだが、酔っ払って言っていることなので噛み合ってしまっているのが可笑しい。
この酔っ払いの登場人物についてだが、「酔っ払いを演じるのが上手い人は、下戸(げこ)の人だ」と、落語界でよく言われる。下戸で普段呑まない人は、飲み会などで酔っ払っている人をよく観察しているから……というのが理由だそうだが、そんなことはない。
もちろん噺家にも下戸の人はいて、打ち上げでソフトドリンクを嗜む人もいる。だけど、打ち上げで酔っ払いを観察する人はいない。皆、馬鹿っ話をするだけである。もし、そんな人がいたら、ちょっと気持ち悪い(笑)。決して「偉いねえ」とはならない。酒を飲む人でも飲まない人でも、酔っ払いが上手い人は上手いのだ。
ただ、飲まない人で酔っ払いが上手いと、「あの人、普段飲まないのに酔っ払いをやるのは上手いなあ」となるのである。
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