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天狗裁き、 親子酒、 二番煎じ

「オチ研究会 なぜこのサゲは受けるのか?」 第十五回

四十五席目 二番煎じ (にばんせんじ) ★★★

[ワンポイント]
派手な出来事が起こる噺ではない。それでも古くから愛され続けてきたのは、登場人物のやり取りが実に味わい深いからである。冬の番小屋で始まる小さな酒宴と、それを見つけた同心。最後に交わされる一言には、江戸らしい粋が詰まっている。

【あらすじ】

 ある冬の晩、防火のための夜回りを町内の旦那衆が行っている。

 寒さに震えながら夜回りをした一同が番小屋に帰ってくる。火鉢を囲んで酒を持ち寄ったり、猪鍋をしたりと、にわかの酒宴が始まる。

 そこへ番小屋の管轄をしている廻り方の同心(どうしん:町奉行所の下級役人)が様子を見に来る。

 慌てる一同は、必死で宴会の様子を隠そうと、鍋に座ったりして奔走するが、火にかけてある酒の鉄瓶は隠せない。旦那衆はなんとか誤魔化そうと「これは煎じ薬だ」と言うが、同心は『近頃、風邪気味だから』と湯呑みに入れて飲むと、酒だと気づく……

【オチ】

 どころが、同心は「結構な煎じ薬だ」とおかわりを飲み、猪鍋も見つけて食べる。さらに酒のおかわりを頼む同心に

旦那衆 「もう煎じ薬はありません」
同心「左様か。では拙者が町内をもう一廻りして参るので、その間、二番を煎じておけ」

【解説】


 とても粋なオチである。何が粋かは説明が難しいが、とにかく粋だと思う。

 同心は酒だとわかって「もう一度作っておけ」と言えば良いのだが、旦那衆が「煎じ薬」と誤魔化してきたので、それに合わせて「二番を煎じておけ」と言うのが可愛い。「ここで待つから」でもなく、「町内をもう一廻りして参るので」というのも奥ゆかしくて良い。

 火の用心というと、子供の頃の町内会でやったことを思い出す。故郷の福岡県福岡市早良区の某所。町内の子供衆を先頭に、後ろから大人が付いてきてくれるのだ。「火の用心!(チョンチョン)マッチ一本、火事の元!(チョンチョン)」と口上も鮮明に覚えている。ふざけて「マッチ百本!」と言い合った光景まで覚えている。

 みんなで町内を廻り、最後は公民館に集まってお母さん連中が作ったぜんざいを食べる。もちろん冬場の行事なので、このぜんざいが冷えた身体に沁みるのだ。

 粒あんで汁気が多いので、あれはお汁粉(おしるこ)ではなく、ぜんざいだ。口直しには黄色い沢庵(たくわん)が山のように切ってあって、ぜんざいで口が甘くなったら沢庵をかじる。沢庵で塩気を感じたら、またぜんざいを食べる。ぜんざい沢庵ぜんざい沢庵の無限ループだ。火の用心よりそれが楽しみだった。

 そういえば、あの真っ黄色の沢庵を最近食べてない気がする。


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か行 片棒 看板のピン 紀州 きゃいのう 金明竹 甲府い 子別れ 権助魚
さ行 真田小僧 七段目 芝浜 寿限無 崇徳院 粗忽長屋 ぞろぞろ
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ら行
わ行