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〈書評〉 新宿末広亭 令和の定点観測 (長井好弘 著)

「“本”日は晴天なり ~めくるめく日々」 第13回

〈書評〉 新宿末広亭 令和の定点観測 (長井好弘 著)

落語好きなら何度も頷く、寄席の一年を味わう一冊!

笑福亭 茶光

執筆者

笑福亭 茶光

執筆者プロフィール

寄席を覗き見るような楽しさ

 江戸落語には階級制度があり、それぞれ『前座』『二ツ目』『真打』と区別されている。

 一方、上方落語には階級制度がない。我々、鶴光一門は二番弟子の里光兄以下、落語芸術協会の前座としてスタートし、江戸落語の階級制度の中で落語家となった東京発の上方落語家という非常に珍しい存在だ。

 もちろん、江戸落語の前座と共に、落語芸術協会の寄席で私も四年間の前座修行を勤め上げた。東京の寄席には、沢山の想い出が詰まっている。

 また正前座として四年間の前座修行を始める前には、一ヵ月間、見習い期間として寄席に入る。私が見習いとして初めて寄席の楽屋に入ったのが、新宿末広亭だった。

『新宿末広亭 令和の定点観測』(長井好弘 著)

 演芸評論家の長井先生が、一年間七十三興行に通った『定点観測』の記録。

 落語家になると、師匠方の高座を袖から勉強することができる。その代わり、落語会のルールとして客席から高座を聴くことはできなくなってしまう。我々落語家は廃業しない限り、定点観測することはできない。

 客席から見た寄席の記憶や、私たち落語芸術協会員が出入りする機会のない落語協会の寄席の雰囲気も感じられる一冊だ。

 定点観測は、令和六年十月上席夜の部から幕を開ける。主任は古今亭志ん橋師匠。それぞれの出演者の演目はもちろん、その日の客席の様子、それを受けての演者の反応など、寄席を覗き見ているようで楽しい。