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噺家の衣替えの話

「お恐れながら申し上げます」 第14回

今年も着なかった着物、今年も着た黒紋付

 話がそれました。

 まず衣替えで最初にすることは、夏の着物を衣装ケースから出して並べることです。

 「この着物は、たくさん着たな」
 「今年はあんまり使わなかったな」
 「ここ数年、着てないな」
 「毎年、出すだけで全然着ないな」

 と色々なことを思いながら、並べていきます。羽織紐を外しながら「結局、黒紋付にしちゃうよな~」とか独りごとを言ったりしています。

 着物の下に着る長襦袢(ながじゅばん)には、半衿(はんえり)がついています。衣替えでは半衿を外しますが、これが少し面倒なんです。

 縫い付けてある糸を切る時に、長襦袢と半衿を傷付けてはいけません。慎重に、時に大胆に半衿を外した後は、それを洗います。ぬるま湯で手洗いをします。汚れが付きやすい所は、念入りに石鹸を塗り込みます。汚れた水を見て「頑張った証しだ!」などとは思わず、無心で丁寧に洗いとすすぎを終えます。

 干した後は、アイロンを掛けてお終いです。

 半衿の手入れだけで、こんなに手間が掛かるんだと書いてみて改めて思います。「長襦袢に半衿を付けたまま、洗いに出してもよい」という話も聞いたことがありますが、何となく半衿は別にして洗うようになりました。