インド感動旅日記
「ラルテの、てんてこ舞い」 第2回
- その他
ラルテ
2025/07/20
混沌と熱気があふれるインドに感動(画:石渡芙美)
ありがとう、河童さん!
妹尾河童さんの『河童が覗いたインド』(新潮文庫)が実に面白くて、貪るように読んでいた時期がある。
泊まったホテルの見取り図や風景が手書きでありながら、実に緻密であり繊細に描かれている。片面の文章では、その時体験したインドの人たちとの交流や会話がなんともリアルで、私の感受性をどんどんと掻き立ててくれる。この本を読み、とにかく一度でいいからインドの地を踏んでみたいと強く思った。
機会が来たのは、齢40を過ぎた頃だった。出版社に勤める友人が何気なく言った「インドにでも行ってみない?」との提案だった。すかさず「行く! 絶対行く! いや、行かせてください!」とその場に居合わせた友人たちがかなり引き気味なくらい、積極的に賛成した。
とはいえ、今のように、労働基準法が重視されているわけでもなく、働き方改革という言葉さえなかった時代である。若者は過激なほど忙しく、徹夜も珍しくなく働いていた。そんな中で一週間以上の休暇をとるのは結構、難儀である。しかし、目標があると頑張れるのが人間だ。
昔、母親との「5回連続で満点を取ったら、自転車を買ってあげる」という約束を果たすべく、子供ながらに頑張った。その時以来の一生懸命さを精一杯アピールし、上司は満点の、いや違った、満面の笑みで承諾の印を押してくれた。
かくして、いざインドへ。
インドは、空港から衝撃的な光景で私を迎えてくれた。空港内には、何頭もの牛が存在していた。悠然と歩いているものもいれば、壁際で休んでいる牛もいる。インドでは牛は神様だ、乱暴に扱うはずがない。とはいえ、どこの世界に牛が蔓延(はびこ)っている空港があるんだ! そこからして、さすがインド!
センセーショナルな感動は、旅の期待を嫌がおうにも膨らませてくれる。
有難う河童さん、私は今、ここにいます!
空港から街中に向かうバスの中で、初めてツアーに同行するメンバーと会うわけだが、これがまた、かなり個性的な面々である。一人ひとりの物語も書けそうだが、長くなるので今回は割愛しよう。
センターシティへと向かう道は、どんどんと車と人が多くなり、車、車、車、人、人、自転車、リキシャ(インドの三輪タクシーのこと)、リヤカー、時々、牛という不思議なループが混在し、混沌とした世界を創り出している。ホコリっぽい空気や熱気、五月蠅(うるさ)いほどの喧騒や、アースカラーの街並みにサイケデリックで鮮やかな映画の看板……。
そんな光景もエネルギーも、すべて私にとっては刺激的で、嬉しくて涙すら浮かべてしまう。
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