すずめ踊りを見ようとや

「すずめのさえずり」 第十四回

 挑戦の機会を与えられたのは踊りだけではなかった。

 かっぽれのバリエーションで「三人かっぽれ」というものがあり、かつてバリバリの体操選手であった柳家小里ん師匠が、その振り付けにバク転を取り入れ、喝采をさらっていた。ときには同じくバク転のできる桂小文治師匠、古今亭菊春師匠と、三人で一斉に飛ぶこともあった。

 余談だが小里ん師匠曰く

 「ラジオ体操をちゃんとやれば他の運動は必要ないし、そんな余裕もない」

らしい。「ちゃんと」とは、たとえばラジオ体操第一の二番目にある「腕と足の運動」であれば、毎回ケツが踵に触れるまで完全に下ろす、という程度の意味である。

 で、志ん橋と同時期に住吉を引退されていた小里ん師匠に、

 「三人かっぽれ(バク転込み)やってみないか」

とお声がけいただいた。「軽そうだから」というだけの理由で。

 ちょっと待ってくれ。運動神経をおっかさんの腹の中に忘れて生まれてきたこの私だ。今でこそ筋トレ馬鹿になっているが、あの筋トレというものは、人と競いさえしなければ、運動音痴でもそれなりにできるからいいのだ。

 そもそもなぜ噺家になったのか。以前このエッセイにも書いたような気がするが、あまりにも体が利かないので、座って喋るだけでいいと思いこの道を選んだのだ。

 それなのに。それなのに、バク転……?