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ありがとうございました、龍玉師匠 ~112席の宝物

月刊「シン・道楽亭コラム」 第18回

笑いも涙も知る、はにかみの落語家

 私が龍玉師匠の落語を聴き始めた頃は、ほぼマクラなしでしたが、1年ほど前からマクラが入るようになりました。隅田川わたしさんや柳家喜多八師匠、川柳川柳師匠らの伝説的な酒癖を彷彿とさせる、自分を主語にしない酒エピソードは笑えました。

 2022年4月にお江戸両国亭で「百川」を聴いたことがあります。後にも先にもこの1回だけでしたが、そこには「笑いの龍玉」が確かにありました。龍玉噺は、真剣に生きる登場人物の性格や状況によって、殺しにも笑いにも転がる、表裏一体のものだと思うのです。

 「子別れ」「芝浜」「文七元結」「富久」(ついでに言うと「もう半分」「死神」「猫定」も)などの「温かい人情もの」、いわゆる良い噺を数多く持っていらっしゃるのに、私が1回しか聴けていない演目の多いこと。

 「温かい人情もの」は、ご自身から進んでお掛けになることが少なかったようですが、秩父生まれの「心は誰より江戸っ子」な龍玉師匠は、含羞(がんしゅう)の人であったと私には思えるのです。

 6月は私の好きな人を連れていく、サヨナラの月。太宰治が死に、実母が死に、龍玉師匠も死んだ。みんな酒が好きだった。

 サヨナラしても、心の中にいます。私のドラゴンボールの輝きも、きっと永遠です。

共同席亭 服部晶代

▼シン・道楽亭|新宿二丁目のミニミニ演芸場(公式HP)

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         (毎月10日頃、配信予定)