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ちょいもち

桂三四郎の「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第2回

ちょいもち

怒り狂った先生に…(画:大久保ナオ登)

桂 三四郎

執筆者

桂 三四郎

執筆者プロフィール

連載初回でまさかの……

前回のエッセイでは、「締め切り」について書いた。

前回の締め切りは7月12日だったが、実は本来の締め切りは6月12日だった。

つまり、第1回目の連載は、本当は6月12日締め切りで、6月24日掲載の予定だったということだ。

初連載の喜びに打ち震えた僕は、6月12日に華麗に入稿し、掲載を楽しみにしながら迎えた掲載予定日の6月24日、話楽生Web編集部からメールがきた。

「誠に申し訳ございません。掲載日を7月22日に変更させていただけないでしょうか?」

めっちゃびっくりした。

いや編集部が「締め切り」を落としとるやないかい!!

よりによってエッセイのテーマが「締め切り」の回に締め切りを落としとるやないかい!!

連載初回に落としとるやないかい!!

ないかいないかい言いすぎて、頭の中に内科医が浮かんでくるほどびっくりしていた。

編集部註:も、も、もうしわけございませんでした!!! 滝涙

よく漫画やドラマでは編集部が

「おい、先生の原稿どうなってんだ!! 先生の原稿受け取ってくるまで帰ってくるんじゃねえぞ!! 落としたら大変なことになるぞ!!」

みたいなシーンはよく見るが

「先生、すみません。今回入れてもらった原稿、落ちちゃったんで来月の掲載でお願いします」

みたいなシーンは見たことないし

もしこんなことが実際あったら、怒り狂った先生に、担当は左のまぶたをちぎられてキクラゲの代わりにされているだろう。

まあでも僕は、こういう時は感情的にならず「徳を積む」という考え方を心がけている。

担当の方のまぶたをちぎって、キクラゲの代わりにしたところで時間は戻らないし、そんなキクラゲまぶたが入ったとんこつラーメンも食べたくない。

一生、左目だけ開きっぱなしの担当さんも気の毒だ。

まあ、たまたまイラストレーターさんの選定やらなんやら、時間がかかっただけだろうし

時間をかけていただいたお陰で、大久保ナオ登さんの素晴らしいイラストも掲載してもらえた。

まあ前回たまたまテーマが「締め切り」だっただけなのだけど。

あ、どうも二回目の連載、桂三四郎です。お読みいただいてありがとうございます。

どこのタイミングで自己紹介しとんねん。

プリンセス天功になり損ねた男

それにしても、僕にはこういうたまたまがよく起こる。

たまたま末廣亭に出してもらった時に

たまたま女子中学生の団体で

たまたま僕が学生相手が得意でバーンと受けたところを

たまたま落語会の主催の方が見ててオファーしてもらった落語会に

たまたま鶴瓶師匠が飛び入りしてくれて、その会社と縁ができて海外公演の話につながり

たまたま海外公演でインドネシアの商工会議所?みたいなところの担当者が僕の中学の同級生でトントン拍子に話が決まり

年3回もインドネシアで公演し、そのうち1回はジャカルタ、スラバヤ、チカランの三都市でのツアーだった。

おそらく日本国内のツアーよりも先にインドネシアでツアーをやってしまったのは僕くらいだろう。

今までの落語家人生を振り返ってみるとそういう「偶然」というか「運命」めいたことの連続で生きてきたと思う。

よく「持ってる人」なんて言葉があるが、僕もどちらかというと「持ってる人」まあ、「運のある人」なんだろう。

しかし、この「持ってる人」にも個人差があって

同じお金持ちでも、1億持ってる人と100億持ってる人とはお金持ちレベルが違うように

「運のある人」にもレベルがある。

嬉しいことか悲しいことか僕は「ちょっと持ってる人」なのだ。

僕が本当に「持ってる人」ならば、このインドネシア公演を皮切りにワールドツアーに発展し「Sansirow Katsura」としてプリンセス天功みたいになっているはずだ。

多分、NYかロンドンに住んで、めっちゃでかいサングラスかけて、ゴールデンレトリバーを3匹飼っている。

ちなみにこのインドネシア公演で、僕だけたまたま食中毒にかかって羽田から救急搬送された。

しかも、調子に乗って浴衣で海外公演の日程を過ごしていたもんだから

羽田から「桂三枝」と大きく書かれた浴衣をはだけさせて車椅子で運ばれていくという、入院生活の長すぎるおじいちゃんのようなラストを迎えた。

この辺のところが「ちょっと持ってる人」らしいところだと思う。