まんまるおつきさま
「ずいひつかつどお」 第4回
- 落語
立川 談寛
2025/09/27
地球を楽しむ、うさぎたち
今回のテーマは、十五夜。
今年の中秋の名月は、10月6日だ。月を眺めながらお酒を飲んだり、お団子を食べたり、皆思い思いに名月を楽しむのだろう。
一方、月のほうからは、うさぎたちがお餅をつきながら地球を眺めている。月からも十五夜のようなものがあり、地球を眺めながらお団子を食べたり、にんじんを齧ったりしているかもしれない。
中には、二人組でお餅をつきながら芸をするクールポコさんみたいなうさぎもいて、
うさぎA 「地球人がモテようとして脱毛をはじめたんですよ」
うさぎB 「な~に~! やっちまったなぁ!」
うさぎA 「うさぎは黙って」
うさぎB 「換毛期!」
うさぎA 「うさぎは黙って」
うさぎB 「換毛期!」
うさぎA 「お掃除が大変だよ~」
うさぎたちは皆涙を流しながら換毛期、換毛期と大爆笑をする。
我々は人間なのでどこが面白いのか全くわからないかもしれないが、我々が月を楽しむように、うさぎたちも地球を楽しむ、これもまた価値観の違いであり多様性なのだ。
月の美しさと伝えられない想い
「月が綺麗ですね」
この言葉には、愛の告白の意味が込められているそうだ。
これは明治の文豪である夏目漱石が英語教師をしていた時に、「I love you」を翻訳した際、日本人が愛の告白をする時には直接的な表現を使わないとして、「月が綺麗ですね」という言い回しを思いついたとされるが、真実は定かではない。
そうだとする根拠がどこを探しても見当たらないそうだ。しかしどちらにせよ、そんな逸話が生まれたのは、漱石の文章力や人柄などによるものだろう。さすが四代目千円札だ。
気になる人と夜に歩いていて「月が綺麗ですね」と言ったとしても、今の時代ではきっと「そうですね」としか言われないだろう。
SNSやいろんな何かがある現代では、直接的な言葉が溢れているし、直接的な言葉しか通じなくなってきている。遠回しに何かを伝えようとしても奥ゆかしさを感じることもないし、むしろ伝え方が悪いのだと責められてしまう。
確かに、直接的な言葉にはわかりやすさと刺激がある。そして刺激があるものは得てして中毒性が高い場合が多い。しかし刺激に慣れすぎると、今度は細かな違いがわからなくなるものだ。
そのことに関して、説教親父のようにくどくどと語るつもりはない。もしかしたら、それが人類の進化に必要で、直接的な表現から生まれる何かが人類にとっての新しい武器になるのかもしれない。
落語にとっては細かい表現や微妙なニュアンス、感情の機微などが大事だとは思うが、それも全てどうなるかわからない。
先のことなどケセラセラ、現代社会はマッハGOGOGOなのだ。
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