2026年4月の最前線 【後編】(聴講記:津の守講談会/講談『太閤記』小考①)
「講談最前線」 第17回
- 講談
瀧口 雅仁
2026/04/12
講談『太閤記』小考①
2026年の大河ドラマは、言わずと知れた『豊臣兄弟!』。豊臣秀吉と秀長兄弟を描きながら、今後は弟秀長にスポットが当たっていくとされるが、現時点では二人にプラスして、小栗旬演じる織田信長の動きがメインに進められている。
講談で言えば、『太閤記』でも秀吉の誕生から亡くなるまでが追われるが、最初のうちは秀吉が出世していくまでのプロセスが描かれる(秀吉は元日に生まれ、大晦日に亡くなるという設定である)。かつて大阪には玉龍亭一山(ぎょくりゅうていいちざん)という講釈師が、1年365日『太閤記』を読んでいたとされるが、東京ではそれほど盛んに読まれることがないのは、やはり『太閤記』は大坂(大阪)の読み物というイメージが強いからか。
何しろ権現様が主役とはならない『太閤記』は、江戸っ子にとって面白くないと思われがちなのか、同じく家康が危められる『難波戦記』にしても、『真田の入城』や『荒大名の茶の湯』といった一部の話を除いては、あまり読まれることはない。しかも『難波戦記』では、徳川家康は後藤又兵衛の槍で命を落とし、堺の南宋寺に葬られ、今もその墓があるという設定なのだ!
『太閤記』にしても、『矢矧橋』や『長短槍試合』『間違いの婚礼(高砂)』『醍醐の花見』、そして『本能寺』といった場面以外に東京で出会う機会はそう多くはない。今年の「講談伝承の会」で、神田紅佳が旭堂南海から伝授された『三日普請』を読んだのが目新しく感じたくらいだ。
実は、その紅佳が『太閤記』に挑む際に発した、“「人たらし」と言われる秀吉の見事な人心掌握術。なぜか憎めない魅力存的な(原文ママ)キャラクターを巧みに表現出来たら”(「講談伝承の会」のパンフレットより一部抜粋)としていたあたりに、“なるほど、この話は秀吉の「人たらし」さを描いた物語であるのか”ということに気付かされた。
確かに『豊臣兄弟!』でも、池松壮亮演じる秀吉は、小憎らしいほどまで小栗信長を、そして信長の妹であるお市(宮崎あおい)にうまく取り入っている。では、それが講談になるとどう描かれるのか……。
惜しい切れ場であるが、この続きはまた次回に。

(以上、敬称略)
(毎月13日頃、配信予定)
2026年4月の〈前編〉はこちら
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