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三櫂屋というお店

「お恐れながら申し上げます」 第8回

店長、謝罪いたします!

 16時入りと17時入りがありまして、バイトは2人体制でした。1人が「外」といって接客担当、もう1人は「中」と呼ばれるドリンクと接客とお皿洗い担当です。女性が外、男性は中を受け持つことが多かったです。理由は後で書きますが、私は中の方が多かったです。男同士でバイトに入っても、中に入れてもらっていました。中の方が楽しかったなぁと思います。

 お店に着くと、掃除から始めます。箒(ほうき)で床を掃いた後に、モップの先に雑巾をつけて水拭きします。椅子を並べたら、手を洗って薬味の大根おろしを準備します。多い時には、1本まるまるおろします。足りなくなると面倒なので、多めにおろしていました。次に生姜とにんにくをおろします。最後に辛子を練って基本的な仕込みはお終いです。

 17時入りの人は、卓上の醤油や七味唐辛子を補充します。ほかに豚しゃぶのタレを作ったり、焼酎を補充するのは手分けをしてやります。

店内の様子(三櫂屋 公式HPより)

 開店すると暫くは、ぼんやりしています。仕事が終わってからお客さんが食事や接待に来るので、開店直後は準備が終わらなかったところをやり直す時間に充てていました。なので、営業が始まってすぐに、それも予約なしでお客様がいらっしゃると、バイトは少し不機嫌になっていました。反省しております。ごめんなさい。

 閉店直前にお客様がいらっしゃると、なお不機嫌になります。店長は、閉店30分前でもお客様を入れます。私たちは早く賄いが食べたいのにと思っていましたが、店長はお構いなしでした。今になって、お客様がいらっしゃることのありがたさが身に染みて分かるようになりました。店長、本当にごめんなさい。

 日曜日は、バイトが1人でした。杉大門通にあるほかのお店は日曜定休が多いのですが、三櫂屋は土曜定休です。日曜日は家族連れのお客様が多く、さっと食べてすぐ帰るような人がほとんどなので、バイトは1人でも十分でした。ところが突然、団体さんが来店することがあります。

 こうなると、1人では手一杯になります。お酒を運んで、注文を聞いて、料理を出して、豚しゃぶの支度をしてとやっていると、もう何も考えられなくなります。ゾーンに入ったアスリートさながら、研ぎ澄まされた感覚で働いていました。

 店長から「料理出してー」という指示も、空返事で答えます。「そんな余裕はないやい!」という気持ちで、目の前の仕事を片付けていきます。今、考えると、大変に自分勝手な行いだったと反省しております。店長、心の底から謝罪いたします。