NEW

和歌山の家族の風景

シリーズ「思い出の味」 第26回

小さな誇り

 ウチの父親は、土日が仕事が休みでした。子供たちが野球もなく、たまに家族が揃った時はみんなで昼に外食し、各自レンタルビデオを借りて帰るという流れがいつもでした。

 外食先は、父親の勤め先の近くの安くて量が多い中華料理屋がもっぱらでした。いつも私は同じものしか食べず、ラーメンとチャーハン。これで千円を切ってたような気がします。店は狭いけど味はいい、というお決まりのお店でした。

いつも注文するのはラーメンとチャーハン(イメージ)

 私は、お腹いっぱい注文すると家計にダメージを与えると思ったので、いつも安くてそこそこお腹が膨らむ組み合わせを考えていました。子供ながらに「なんて僕は偉いんだ。この値段でお腹いっぱい。親は嬉しいはずだ」と。

 一方、兄たちは何も考えずに、たくさん食べていたと記憶しています。その時ばかりは、私は兄たちを見下していました。当然です。親がお金の心配をしてるところを見聞きしたことはないですが、「この家は、そこそこ貧乏だ」と勝手に思ってました。私はだいぶ家計には貢献したはず。

 ただし、親兄弟や友だちから「お前、いつも同じの食べてるな」と心ない言葉をくらうようになったのは、この頃からでしょう。いまだに一番傷つく言葉がコレです。現代は「ルーティン」という便利な言葉ができ、良かった。

三十年越しの恋

 誕生日のお祝いといえば、プレゼントを除けばケーキだと思います。

 ウチも同じですが、誕生日ケーキと言えば、生クリームにイチゴが乗ったショートケーキやチョコのホールケーキではなく、ましてやバターケーキでもない。ウチはチーズケーキでした! しかもレアチーズケーキとかいうマガイモノではなく、チーズケーキです。

 これがすんごい高級な甘さ!(詳しく説明しろと言われてもできませぬ) しっとりしたスポンジに、透明で甘いチーズが生クリームのように塗られております。めちゃくちゃ甘くてしっとりして、たまらなく美味い。

 「チーズって甘いのか!」と子供ながらに思い込んでいた私は、ある日、トーストとかにのせる“とろけるチーズ”みたいなのを食べた時、あまりの酸っぱさにショックで泣いたような気がします。

 世の中では、チーズケーキは酸っぱいんですね、知らなんだ。