NEW
〈書評〉 役者の落語はお父さんのカレー (小宮孝泰 著)
「芸人本書く派列伝 オルタナティブ」 第17回
- 落語
- Books
杉江 松恋
2026/09/22
落語を芝居にする難しさ
小宮は、本書で役者落語を世間に認めさせようとしているわけではない。
好きが高じての道楽であることを認めており、「役者落語という視点からはこういうことが見える」、「それまでにあまりなかった角度から検討したところ、落語にはこういう性質が備わっていると言えるのではないか」という発見を綴ることに徹している。その誠実さには、アマチュア落語に否定的な立場の方でも耳を傾けたくなるはずだ。
私が面白いと感じたのは第4章で、ここでは舞台化された落語の問題点について、かなり踏み込んだ形で書かれている。例をいくつか挙げておきたい。
章の最初に紹介されているのは、「宿屋の仇討」を題材とした公演だ。劇団名などは記されていない。上方旅から帰ってきた3人組が、明日は江戸に帰るという嬉しさから宿屋で夜にはしゃぎまわる。隣室の侍はそのせいで眠ることができずにイライラし、番頭の伊八(いはち)を呼びつける、という2ヵ所の同時進行で語られる噺だ。
小宮はこの噺の肝を、町人と侍の場面を「切り替えるタイミングとシャープさ」だとする。演出家はその点を理解できず、全場面を同時進行、つまり町人と侍の部屋の両方に照明が当たった状態で保とうとしたというのである。あまつさえ、イライラが募った侍は、柱をのこぎりで切ろうとまでする。
「舞台に出ているからにはなんとか目立たなくてはいけないという自己承認欲求が演劇のモラルを上回ってしまった」と厳しい。小宮曰く「演劇、特に喜劇では、舞台上でまるで存在しないかのように目立たないことも役者に必要」「狙い通りの小気味いい大きな笑いでウケるためには、その前に小さなボケやギャグは不要なのです」。

いま読まれています!
「コソメキネマ」 第十七回
玉川祐子師匠
~103歳の玉川祐子師匠、ついに『徹子の部屋』へ!! 映画は『ヤング@ハート』をご紹介。
港家 小そめ
2026/09/19
「芸人本書く派列伝 オルタナティブ」 第17回
〈書評〉 役者の落語はお父さんのカレー (小宮孝泰 著)
~「演じる」と「語る」の間に、落語の秘密がある。演劇と落語を比べて見つけた、笑いの秘密
杉江 松恋
2026/09/22
シリーズ「思い出の味」 第6回
茶色いうどん
~自分の未来を見つめる8歳の少年
三遊亭 ごはんつぶ
2025/06/25
「噺家渡世の余生な噺」 第17回
苦しみを、人生の片隅へ
~それでも今日を笑って生きていく
柳家 小志ん
2026/09/14
シリーズ「思い出の味」 第9回
暑いので!
~3度目のマイトコロテンブーム到来?
三遊亭 天どん
2025/07/30
「かけはしのしゅんのはなし」 第10回
3月5日は、スリランカカレーの日
~知らないなら食べに行けばいい。その一歩が世界を広げる!
春風亭 かけ橋
2026/03/18
「講談最前線」 第27回
2026年9月の最前線 【後編】 (講談『太閤記』小考⑥ / 9月・10月のおススメ講談会)
~『太閤記』『難波戦記』を手がかりに、史実とフィクションの境界を訪ねる大阪の旅へ!
瀧口 雅仁
2026/09/18
「ピン芸人・服部拓也のエンタメを抱きしめて」 第15回
揺れ動いた、30代最後・熊本での夏
~祭り、地震、再会、人の優しさ。この夏に見つめた、自分の笑いの原点とは?
服部 拓也
2026/08/28
月刊「浪曲つれづれ」 第16回
2026年9月のつれづれ(奈々福がうなる日本国憲法、玉川太福と玉川祐子のテレビ出演、東家三可子・東家千春の挑戦)
~伝統を守りながら、変化する芸能の姿。浪曲の現在地を描く、月イチ浪曲レポート
杉江 松恋
2026/09/15
「宇宙まで届け! 圧倒的お転婆日記」 第17回
ありがとう失言、待っているよ暴言
~宇宙一の美人浪曲師が綴る、愛おしすぎる芸人日記
東家 千春
2026/09/03
「くだらな観音菩薩」 第17回
善財童子
~自転車屋の陰謀から善財童子へ。妄想と悟りが交錯する、愉快な仏像コラム!!
林家 きく麿
2026/09/16
「コソメキネマ」 第十七回
玉川祐子師匠
~103歳の玉川祐子師匠、ついに『徹子の部屋』へ!! 映画は『ヤング@ハート』をご紹介。
港家 小そめ
2026/09/19
「講談最前線」 第26回
2026年9月の最前線 【前編】 (聴講記:南陵忌)
~三代目旭堂南陵から、南鱗、南華、南海、南湖らの一門に受け継がれた芸と新たな個性。上方講談の歴史と現在を体感する聴講記!
瀧口 雅仁
2026/09/17
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第47回
女性講釈師の歴史をたどる
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/09/13
「講談最前線」 第27回
2026年9月の最前線 【後編】 (講談『太閤記』小考⑥ / 9月・10月のおススメ講談会)
~『太閤記』『難波戦記』を手がかりに、史実とフィクションの境界を訪ねる大阪の旅へ!
瀧口 雅仁
2026/09/18
月刊「浪曲つれづれ」 第16回
2026年9月のつれづれ(奈々福がうなる日本国憲法、玉川太福と玉川祐子のテレビ出演、東家三可子・東家千春の挑戦)
~伝統を守りながら、変化する芸能の姿。浪曲の現在地を描く、月イチ浪曲レポート
杉江 松恋
2026/09/15
「噺家渡世の余生な噺」 第17回
苦しみを、人生の片隅へ
~それでも今日を笑って生きていく
柳家 小志ん
2026/09/14
月刊「シン・道楽亭コラム」 第17回
演芸ファンがほしかったスマホアプリを作りました ――「ご贔屓手帖」ができるまで
~ファンの小さな困りごとから生まれたアプリの物語
シン・道楽亭
2026/09/09
シリーズ「思い出の味」 第11回
食べ物が詰まった、師匠桂三金の思い出と棺桶
~焼肉は落語
桂 笑金
2025/08/17
「令和らくご改造計画」
第十四話 「踊る金持ちピエロ」
~最近の前座さんたちは、時々おかしい
三遊亭 ごはんつぶ
2026/09/12
「講談最前線」 第25回
2026年8月の最前線 【前編】 (神田鯉栄が帰って来た!)
~講談はいつも面白く、そして新しい
瀧口 雅仁
2026/08/24
月刊「シン・道楽亭コラム」 第17回
演芸ファンがほしかったスマホアプリを作りました ――「ご贔屓手帖」ができるまで
~ファンの小さな困りごとから生まれたアプリの物語
シン・道楽亭
2026/09/09
「宇宙まで届け! 圧倒的お転婆日記」 第17回
ありがとう失言、待っているよ暴言
~宇宙一の美人浪曲師が綴る、愛おしすぎる芸人日記
東家 千春
2026/09/03
「テーマをもらえば考えます」 第13回
フロートの向こう側
~テーマのクリームソーダにちなんで、いろんなお酒でフロート、やります!?
三遊亭 天どん
2026/08/31
「令和らくご改造計画」
第十四話 「踊る金持ちピエロ」
~最近の前座さんたちは、時々おかしい
三遊亭 ごはんつぶ
2026/09/12
「座布団の片隅から」 第17回
好楽
~祝・傘寿! タフすぎる三遊亭好楽師匠の宴
三遊亭 好二郎
2026/09/07
「マクラになるかも知れない話」 第十三回
霊んメイカー2
~日常の些細なモヤモヤを、落語みたいに笑い飛ばしてくれる爽快エッセイ!?
三遊亭 萬都
2026/08/25
「ピン芸人・服部拓也のエンタメを抱きしめて」 第15回
揺れ動いた、30代最後・熊本での夏
~祭り、地震、再会、人の優しさ。この夏に見つめた、自分の笑いの原点とは?
服部 拓也
2026/08/28
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第47回
女性講釈師の歴史をたどる
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/09/13
「艶やかな不安の光沢」 第4回
N氏の碑から浪江の海まで
~長崎の碧い海から、忘れられない故郷の海へ。喪失と希望のロードムービーのようなエッセイ
林家 彦三
2026/09/04
「くだらな観音菩薩」 第15回
阿弥陀如来
~同期であり、仲間であり、ライバルであり、親友だった蜃気楼龍玉師匠への想い。そのままの言葉、そのままの心
林家 きく麿
2026/07/16
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第10回
ああ…麗しの吉本興業……
~吉本興業を辞める話なのに、なぜこんなに爆笑してしまうのか!?
桂 三四郎
2026/05/12
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第9回
優雅な航海中の後悔を公開
~“憧れの仕事”から繋がる伏線が鮮やかな船旅エッセイ!!!
桂 三四郎
2026/04/13
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第11回
オシャレは落語家を変える
~バレたら破門の危険なオシャレ!?
桂 三四郎
2026/06/28
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第12回
プロレタリアの街
~「絶対にここに戻ってきたらあかんで」そう言われた青年は22年後、落語家として帰ってきた。笑って最後にじんとくる実話エッセイ!!!
桂 三四郎
2026/08/10
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第5回
落語家の夢
~俺の目は、まだ濁っていない!!!
桂 三四郎
2025/11/27
「令和らくご改造計画」
第四話 「初心者よ永遠なれ」
~AIが落語を演じる時、それでも人は笑えるのか?
三遊亭 ごはんつぶ
2025/11/12
「令和らくご改造計画」
第六話 「若手人気落語家殺人事件 【事件編】」
~古典派と新作派の溝!?
三遊亭 ごはんつぶ
2026/01/12
「艶やかな不安の光沢」 第1回
謂れなきものたちの飛躍
~年始からとちってしまった芸人の胸のうち
林家 彦三
2026/02/12
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第6回
運と皆様のおかげです
~人間は弱い生き物です
桂 三四郎
2026/01/01
編集部のオススメ
「講談最前線」 第25回
2026年8月の最前線 【前編】 (神田鯉栄が帰って来た!)
~講談はいつも面白く、そして新しい
瀧口 雅仁
2026/08/24
「令和らくご改造計画」
第十三話 「誰のおかげで」
~最近の前座さんたちは、時々おかしい
三遊亭 ごはんつぶ
2026/08/13
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第12回
プロレタリアの街
~「絶対にここに戻ってきたらあかんで」そう言われた青年は22年後、落語家として帰ってきた。笑って最後にじんとくる実話エッセイ!!!
桂 三四郎
2026/08/10
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第44回
情熱に出会い、魂を語る 神田紅(前編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/08/09
「座布団の片隅から」 第16回
別荘
~優雅な大人の夏休み……のはずだった。涼やかな高原の別荘での珍事件を綴る爆笑避暑日記!!
三遊亭 好二郎
2026/08/07
「宇宙まで届け! 圧倒的お転婆日記」 第16回
まだ満足にビールが飲めていない夏
~宇宙一の美人浪曲師が綴る、愛おしすぎる芸人日記
東家 千春
2026/08/03
「くだらな観音菩薩」 第15回
阿弥陀如来
~同期であり、仲間であり、ライバルであり、親友だった蜃気楼龍玉師匠への想い。そのままの言葉、そのままの心
林家 きく麿
2026/07/16
掲載記事300本記念
〈掲載記事300本記念〉 柳家さん喬師匠 スペシャルインタビュー【前編】
~小さん師匠の「おめでとう」から始まる新しい年
話楽生Web 編集部
2026/01/25