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幸せになりたい

「まだ名人になりたい」 第7回

何度でも死ぬ男

 ところでみなさん、逆恨みはしていますか?

 私はしています。二ツ目になって五年もたったころ、満を持して新作落語を始めました。毎月一席、ネタおろしをして一年半で、約二十席ほど。毎回、私を見に来たお客さんの口元が半笑いで、目が点になっていました。

 こんな私と、私のお客さんを酷い目に遭わせる新作落語を恨みました。「もう二度とやらない」と心に決めて真打になったころ、林家彦いち師匠に「しゃべっちゃいなよ」というシブラクの新作落語ネタおろしの会に誘っていただきました。

 真打昇進の気ぜわしさで恨みを忘れていたので二つ返事で了承しましたが、また酷い目に遭いました。もう死に体になっているにもかかわらず、真打の意地で新作落語を作っていた私に、シブラク(渋谷らくご)のキュレーター、サンキュータツオさんから、

 「さん花師匠、新作落語はもういいですよ……」

 の一言をいただき、無事成仏するはずでした。すると、娯楽百貨の黒川さんから、

 「新作落語の会をやりましょう!!」

 との思し召し。私はもう新作ゾンビです。

 私の自己開示と、自分は面白いはずだという芸人としてのプライドは、木っ端微塵どころか、ニュートリノまで粉々になり、スーパーカミオカンデに研究されてしまいます。